杉江松恋不善閑居 熊本・肥後高田「あづさ書店」

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某月某日

今抱えている仕事。レギュラー原稿×5、イレギュラー原稿×1(評論×1)。やらなければならないこと。の・ようなものの準備×1。ProjectMH×1。

(承前)

熊本二日目。比較的早めに目が覚めたので、前夜どうしようか迷っていたことを実行に移す。泊まっていたのは市電の乗り換え停留所になる辛島町付近である。そこから市電で熊本駅へ向かい、鹿児島本線に乗った。一時間弱で八代駅に着く。肥薩おれんじ鉄道に乗り換えようとして、駅にやたらとカメラを持った人が多いことに気づいた。どうやら人吉SL関連で何かのイベントがあるらしい。2・3番線のホームに式典用の舞台がしつらえられており、準備が進められている。気になったのだが、目的地へ向かう。八代駅から一つ目、肥後高田である。たかだ、ではなくて、こうだ、と読む。やってきたのはカラフルな列車で、中にはくまモンがいっぱいいた。

肥後高田で下りる。そこから線路沿いに行って、すぐの交差点で右に曲がれば、見えてくるのはあづさ書店である。熊本県内の古本屋は熊本市内に集まっている。昭和から残っているのはおそらく、すでに名前を挙げた舒文堂河島書店と天野屋書店のみだろう。八代市にあるこのあづさ書店は熊本市外にある珍しい個人経営店で、かつ熊本最南端の古本屋なのである。

そういう意味では絶対に外せないと思っていたのだが、前まで来てみるとなんと鍵がかかっていて開いていない。もうすぐ店主が来るという風情でもないようだ。情報では朝十時からとなっているのだが、これは仕方ない。一日の予定を考えると、これは引き返さざるを得ないのである。再訪を誓って駅に戻る。帰りの肥薩おれんじ鉄道はくまモンを模した車体であった。肥薩おれんじ鉄道に乗りに来たのだ、と言い聞かせながら鹿児島本線のホームへ。撮影目的の人がいよいよ多くなっていた。

(つづく)

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