杉江 松恋
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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール番外・赤旗連載「通勤型街道歩き」その2
十返舎一九『東海道中膝栗毛』は京都ではなく伊勢神宮に向かう話である。伊勢参りは、誰もが一度はしてみたい夢の旅だった。 私が一度目の東海道踏破を終えたのは、伊勢神宮と出雲大社の式年遷宮が60年ぶりに重なるという珍しい年であった。これは呼ばれているとしか思えず、2013年秋、私は伊勢街道を目指した。東海道四日市宿から三重県を南下していく約70kmの...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール番外・赤旗連載「通勤型街道歩き」1
小学生のとき、寝台特急さくらに乗った。真夜中に目が覚めて窓外を見たら、そこに家並みがあり、そんな時刻なのにいくつかの家には明かりがついていた。 当たり前だが、人が住んでいる、と思ったのである。日本中すべての土地に人が住んでいて、それぞれの暮らしをしている。それを全部訪ねてまわりたい、と思った。変な小学生だ。 7年前、縁があって同業の藤田香...
寸志滑稽噺百席其の十一 ねたおろしは「意地くらべ」でした
昨日は神楽坂・香音里にて「寸志滑稽噺百席 其の十一」であった。 演目は、以下のとおり。 意地くらべ やかん (仲入り) 目黒の秋刀魚 この会は毎回ねたおろしを一本お約束しているのだが、其の十一は「意地くらべ」である。強情者ばかりが出てきて借金の三十円を巡って意地の張り合いになり、というお話。四代目柳家小さん起源なの...
寸志滑稽噺百席 其の十一のご案内
滑稽噺だけで百席を積み上げ、将来の「爆笑王」を目指す。 落語立川流の二ツ目、立川寸志さんの「寸志滑稽噺百席」はそんな心意気で始められた会です。二ヶ月にいっぺん、東京・神楽坂のお座敷で独演会を開いています。 寸志さんをご存じない方のために改めてご紹介させてください。 1967年、東京都立川市生まれの立川市育ち、入門したのは立川談志の高...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年10月「水曜どうでしょう」東京2泊3日70km追撃・その2
「水曜どうでしょう」の企画、「東京2泊3日70km」の行程を自分でも歩いて追跡してみようと思い立ち、起点である羽田空港国内線第2ターミナルから第1の目的地である田園調布へ向けて出発した(前回はこちら)。どうでしょう班は田園調布を通過後、1泊目の宿泊地を品川プリンスホテルに定め、中原街道を延々と北上していった。録画を見ると、中原街道沿いに雪が谷大塚の歩...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年10月「水曜どうでしょう」東京2泊3日70km追撃その1
北海道テレビ(HTB)制作の「水曜どうでしょう」のことを最近ずっと考えている。別途そのわけは書くつもりなのだが、今日は「街てくてく」絡みの話である。 「どうでしょう」は大泉洋にたいへんなことをさせてそのリアクションを見せる、という流れを企画の入口にしている。必ずしも「たいへんなこと」が番組の主眼ではなくて、その企画をやっているうちに大のおとなが...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年10月、池袋西口・夏目書房
翻訳マン1号・川出正樹と翻訳マン2号・杉江松恋がお届けしているトーク配信「翻訳メ~ン」、もうお聴きいただけただろうか。 この配信、都内の貸し会議室を転々として収録しているのだが、ここ2回は豊島区某所でやっている。けっこう使い勝手がいいので、固定でここにするかも。 今回の収録は前週末に行ったのだが、その直前にとんでもない知らせが飛び込んでき...
翻訳メ~ン 2018年9月号のおしらせ
二人合わせて翻訳メン。 翻訳ミステリーばかり読んでいる翻訳マン1号・川出正樹と翻訳マン2号・杉江松恋がその月のお薦めを3冊ずつ紹介し合うトーク配信「翻訳メ~ン」、2018年9月号配信が始まっております。お時間があるときにぜひお試しください。 それぞれのお薦め作品は以下のとおり。お聴きになる前に題名がわかるでしょうか? 翻訳マン1号:...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2017年10月東海道再訪その6 富士駅~蒲原
2017年10月4日午後6時の私はJR東海道線の富士駅前にいた。 前回の続きで東海道を歩くためだ。二度目の東海道行で、初めての泊まりがけである。東海道を何回かに分割して歩こうとすると、調整に苦労する場所がいくつかある。前回の小田原~三島間がその一つで、箱根で宿泊したくなければ無理をして一日で山を越える必要がある。箱根を西側に下りたあとも...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2017年6月東海道再訪その5 三島~吉原、富士駅
古本屋巡り、という点では三島には苦い思い出がある。三島の市街地に唯一残っていた個人経営の古本屋、北山書店にわずかの時間差で間に合わず、訪問しそこねたからだ。 藤田香織氏との共著『東海道でしょう!』によれば、最初の東海道踏破の旅で二回三島宿に滞在している。一度目は大磯~原間を歩いたときだ。東海道ビギナーだった我々は、その時点で箱根を越える自信がな...