杉江 松恋
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翻訳ミステリーマストリード補遺(ミステリー塾3/100)ダシール・ハメット『ガラスの鍵』
翻訳ミステリー大賞シンジケートの人気企画「必読!ミステリー塾」が最終コーナーを回ったのを記念して、勧進元である杉江松恋の「ひとこと」をこちらにも再掲する。興味を持っていただけたら、ぜひ「必読!ミステリー塾」の畠山志津佳・加藤篁両氏の読解もお試しあれ。 ============================ おお、加藤さんの怪気炎、惚れ惚れしなが...
翻訳ミステリーマストリード補遺(ミステリー塾2/100)パーシヴァル・ワイルド『悪党どものお楽しみ』
翻訳ミステリー大賞シンジケートの人気企画「必読!ミステリー塾」が最終コーナーを回ったのを記念して、勧進元である杉江松恋の「ひとこと」をこちらにも再掲する。興味を持っていただけたら、ぜひ「必読!ミステリー塾」の畠山志津佳・加藤篁両氏の読解もお試しあれ。 ======================== パーシヴァル・ワイルドは演劇脚本を本職とする作...
翻訳ミステリーマストリード補遺(ミステリー塾1/100)アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』
翻訳ミステリー大賞シンジケートで、拙著『読みだしたら止まらない! 翻訳ミステリーマストリード100』を元にした企画が持ち上がったのは2014年のことだった。札幌読書会の畠山志津佳さんと、名古屋読書会の加藤篁さんが『マストリード』で取り上げられている100冊を毎月1冊ずつ読んでレビューしていくという企画だ。全部読むとなると8年はかかるわけで、大仕事になる。タイ...
杉江松恋不善閑居 木村勝千代独演会「木村派の連続読みを聴きたい!」開催のお知らせ
ここ2年ばかり、暇を見つけて浪曲ばかり聴いていたのですが、思い切って自分でも浪曲会の開催お手伝いをしてみることにしました。 浪曲師木村勝千代さん、曲師沢村豊子さんによる「慶安太平記」連続読みの会です。「慶安太平記」とは、由比正雪による天下簒奪の陰謀を描いた大パノラマ劇。大正年間に人気絶頂であった初代木村重松の十八番です。吉川小繁と名乗っていた...
芸人本書く派列伝extra01 河内潔士(川内康範)『哀怨の記 天中軒雲月』(積善館)
川内康範に二代目天中軒雲月こと伊丹秀子を書いた小説『哀怨の記』という作品があることは以前から知っていた。ただ、図書館にもないような古い作品なので読む機会はなかったのである。それが2020年の暮れ、下北沢の古本屋を回っているときに偶然見つけることができた。発見したのは、古書明日である。頼りになる古本屋だ。ありがとう。 手に入れたので早速読んでみた...
第十二回翻訳ミステリー大賞予備投票結果報告中継やります。
先日の標記翻訳ミステリー大賞予備投票にご協力いただいたみなさまに御礼申し上げます。 本日(2月5日)より、その投票にいただいたコメントを可能な限り多く読み上げるライブ配信をyoutubeでいたします。見逃しても後日ご覧いただけますので、お暇な方だけどうぞ。また、youtubeのコメントに何か質問などいただいたら、可能な限り答えるようにいたします...
杉江松恋不善閑居 私には二種類の兄さん/姉さんがいる
年長者、その道の先達からは得るものが大きい。しかし、だからといって理不尽な仕打ちを我慢する必要はない。 徒弟制度の中にいるわけではなく、ましてや個々人が独立して生活することが当たり前の時代なのだから、不要になった人間関係はどんどん捨てていってかまわないと思う。 実感として書くが、四十を過ぎてからこのかたは、年長者よりもむしろ自分よりも若い...
杉江松恋不善閑居 仏の顔は二度まで、で十分な人づきあい。
個人の考えがあるにはあるけど、その元になっているのはほとんどどこかで覚えてきたことで、自分だけでそこに至ったものはまずない。 そんな風に思うようになっていたので、若いうちから目上の人の話は素直に聞いていた。さすが長く生きてきただけあって、受け止めるに値するものが何かある。なので機会があれば年長者の言うことには耳を傾けるようにしていたのである。も...
杉江松恋不善閑居 浅草木馬亭二月公演一日目
某月某日 緊急事態宣言下ではあるが、木馬亭の定例公演は例月通り行うとのことなので浅草へ。客席数を半分に、つまり椅子を半分緊縛して開場していた。ひさしぶりにこの景色。 出世定九郎 三門綾・玉川みね子 沼津の秋太郎 東家三可子・東家美 寛永三馬術愛宕山梅花の誉れ 玉川奈々福・沢村まみ 徂徠豆腐 イエス...
杉江松恋不善閑居 自分の中にあるのはすべて貰い物だ
杉江松恋というのは商標であり、それ以上の意味はないということを書いた。 自分の名前にはほとんど拘らないのだが、他人のそれには敬意をもって接している。 その最たるものは寄席芸人のお名前だ。特に講談、落語、浪曲のそれは襲名の制度があるように、伝統を受け継いだものが少なくない。一代きりのお名前でも、師匠との関係で成立している場合が多い。先代の古...