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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年2月・西日暮里「古書信天翁」
西日暮里駅から線路沿いの坂をだらだら上り、途中で富士見坂をやり過ごして進むと丘の頂上に出る。そこから谷中銀座に向けてくだっていく道があり、途中から階段になっている。通称夕焼けだんだん、谷根千を代表する名所の一つだ。 落語好きにはこの界隈は、五代目古今亭志ん生と十代目金原亭馬生の旧宅があった場所としても知られている。詳細は省くが、谷中銀座の中途の...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年2月・竜ヶ崎「竜ヶ崎古書モール」
ツイッターに流れてきた情報で、茨城県の竜ヶ崎市にある竜ヶ崎古書モールが近々閉店することを知った。 閉店してしまうのか。 いや、まだ間に合うじゃないか。遠いといっても飛行機に乗らないと行けないような場所ではないし、鉄道で行っても一時間半ぐらいしかかからない(調べた)。これは絶対に来いということだと確信し、報せを聞いた翌日には常磐線に乗ってい...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 北新宿「ピノキオ書房」の思い出
ここが伝説の地である。 新宿区百人町、南北に延びる小滝橋通りと、東西に走る税務署通りとが、JR総武線の大久保駅の西側で交差する。その交差点の南東角近くに一軒の寿司屋がある。 近辺の歴史に関心のない人には単なる寿司屋にしか見えないだろう。 だが私の目には一つの幻影が浮かび上がっている。 寿司屋の隣に時代から取り残されたような古い...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・大岡山「六畳ブック」自由が丘「東京書房」祐天寺「北上書房」ほか
年末年始は食事制限が甘くなるので、体についた余分な肉を落とすべく、なるべく歩き回っていた。歩いても燃やせる脂肪はわずかで、食べるほうを減らさないとどうにもならないのだけど。 所用があり、家を出たところで、はてどこに行くべきか、と考えた。最近あまり歩いていない付近に足を延ばしたい。となると、横浜の白楽付近か。それとも、もう少し近場を攻めるか。考慮...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・沼津「平松書店」小田原「高野書店」
5-4=1 さあ、どうしよう。 冬季の青春18きっぷである。五回分のうち、一つはいわき行で使った。残る四回は仙台行の往復を杉江松恋・若林踏の二人分で、というつもりだったのである。ところが前の記事でも書いたように、若林氏が仙台行の復路を放棄したため、一回分が浮いてしまったのだ。 使用期限は一月十日まで。 そして、今日がその一月十日であ...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・石巻「石ノ森萬画館」と仙台「昭文堂書店」
「若林君、今から帰ると僕は二十三時くらいに家に着きますよ。君の場合は何時になるか教えてほしいかい」 「いいですよ。だいたい見当がつきますから。まあ、飲み過ぎて終電コースというところじゃないですか」 「だよねえ。ちなみにさ、それは昨日と同じで東北本線で帰った場合だよ。もし福島で常磐線に乗り換えたとするとだねえ」 「なんでわざわざ常磐線...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・仙台「萬葉堂書店鈎取店」
青春18きっぷが使える時期になると、それを使っていずこかに遠出をするのが恒例になってきた。夏は関東と東海を巡ったので、次は北へ行くのである。 年末年始の書評家などは暇なものだ。十二月下旬に配本される書籍というのは少なく、ということは主だった仕事は上旬には終わってしまうわけである。青春18きっぷを使える期間は十二月十日からだから、これは自分のため...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年12月福島県いわき市「阿武隈書房」
年始に青春18きっぷを四日間分使うあてができた。残る一日分を何に充てるかを考えて、まだ行ったことがない古本屋を訪ねる「だけ」に使うことに決めた。行く先は福島県いわき市である。 時刻表で調べると、二十三区内からは二回の乗り換えで行ける。新橋駅から十時四十二分発の上野東京ライン勝田行きに乗ると水戸駅発十二時十分のいわき駅行きに接続できる。これが十三...
書評の・ようなもの サタミシュウ『彼女が望むものを与えよ』
奥付では本日、2018年12月25日刊になっているサタミシュウ『彼女が望むものを与えよ』(角川文庫)の217ページを見て驚いた。 本書は、松久淳『彼女が望むものを与えよ』(光文社/二〇〇七年三月刊)を著者名を変更のうえ、文庫化したものです。 サタミシュウ=松久淳ということは、これまで一部にしか知られていなかった事実だと思う。もしかすると、今回の文...
杉江の読書 松尾スズキ『108』(講談社)
シミルボンで、その月の小説誌に載った短篇の中からベストを選ぶ「日本一短篇を読む男」という連載をやっているのだが、その八月分に書いた原稿を一部転載する。「小説現代」八月号に一挙掲載された松尾スズキ『108』をお薦めしておきたいからだ。 劇作家でタレントまがいのことをしている海馬五郎が主人公のシリーズ作である。相変わらずあれやこれやの半端仕事をしな...