歩くもの
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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 北新宿「ピノキオ書房」の思い出
ここが伝説の地である。 新宿区百人町、南北に延びる小滝橋通りと、東西に走る税務署通りとが、JR総武線の大久保駅の西側で交差する。その交差点の南東角近くに一軒の寿司屋がある。 近辺の歴史に関心のない人には単なる寿司屋にしか見えないだろう。 だが私の目には一つの幻影が浮かび上がっている。 寿司屋の隣に時代から取り残されたような古い...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・大岡山「六畳ブック」自由が丘「東京書房」祐天寺「北上書房」ほか
年末年始は食事制限が甘くなるので、体についた余分な肉を落とすべく、なるべく歩き回っていた。歩いても燃やせる脂肪はわずかで、食べるほうを減らさないとどうにもならないのだけど。 所用があり、家を出たところで、はてどこに行くべきか、と考えた。最近あまり歩いていない付近に足を延ばしたい。となると、横浜の白楽付近か。それとも、もう少し近場を攻めるか。考慮...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・沼津「平松書店」小田原「高野書店」
5-4=1 さあ、どうしよう。 冬季の青春18きっぷである。五回分のうち、一つはいわき行で使った。残る四回は仙台行の往復を杉江松恋・若林踏の二人分で、というつもりだったのである。ところが前の記事でも書いたように、若林氏が仙台行の復路を放棄したため、一回分が浮いてしまったのだ。 使用期限は一月十日まで。 そして、今日がその一月十日であ...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・石巻「石ノ森萬画館」と仙台「昭文堂書店」
「若林君、今から帰ると僕は二十三時くらいに家に着きますよ。君の場合は何時になるか教えてほしいかい」 「いいですよ。だいたい見当がつきますから。まあ、飲み過ぎて終電コースというところじゃないですか」 「だよねえ。ちなみにさ、それは昨日と同じで東北本線で帰った場合だよ。もし福島で常磐線に乗り換えたとするとだねえ」 「なんでわざわざ常磐線...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・仙台「萬葉堂書店鈎取店」
青春18きっぷが使える時期になると、それを使っていずこかに遠出をするのが恒例になってきた。夏は関東と東海を巡ったので、次は北へ行くのである。 年末年始の書評家などは暇なものだ。十二月下旬に配本される書籍というのは少なく、ということは主だった仕事は上旬には終わってしまうわけである。青春18きっぷを使える期間は十二月十日からだから、これは自分のため...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年12月福島県いわき市「阿武隈書房」
年始に青春18きっぷを四日間分使うあてができた。残る一日分を何に充てるかを考えて、まだ行ったことがない古本屋を訪ねる「だけ」に使うことに決めた。行く先は福島県いわき市である。 時刻表で調べると、二十三区内からは二回の乗り換えで行ける。新橋駅から十時四十二分発の上野東京ライン勝田行きに乗ると水戸駅発十二時十分のいわき駅行きに接続できる。これが十三...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月・福岡別府「徘徊堂」
古書徘徊堂には二つの店舗がある。それぞれ最寄り駅が、地下鉄七隈線の六本松と別府(べふ、と読む)である。M君によれば六本松店は巨大で、それこそハヤカワのポケミスなどが足の踏み場もないほどに置いてあって、しかも安いのだという。夢のような話だが、その日は休みであった。別府店は開いているという。M君曰く、六本松店よりはかなり小さくて、どちらかといえば一般文学...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月福岡・平尾「ブックス ビバーク」
「新しく古本屋ができたんですよ」 とM君は言ったのであった。 本々堂で結構な収獲があったので、今日はもうこれでデキた(なつかしの田山幸憲『パチプロ日記』風に)と思っていたところにその一言である。 あと周るべきところは徘徊堂のみ。それも、六本松店と別府店のうち今日は別府店しか開いてないので、という話に続けて出てきた言葉であった。 ...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月福岡・大橋「古書 本々堂」
入江書店を出た私とM君は、西鉄福岡駅から大牟田線に乗った。特急で二つ目の駅、大橋が目指す場所である。 野村宏平『ミステリーファンのための古書店ガイド』にはJR香椎駅前と記載のあるあい書林は最近になってこの大橋に移ってきている。ただし、M君によれば最寄りは大橋駅ではなくて隣の高宮だそうだ。同書によれば「猟書家必見の店」とのことなのだが、残念ながら...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月福岡 赤坂~天神「入江書店」
何度か福岡市で古本屋巡りをしたことがある。最初がいつだったかは記憶していないのだが、たぶん全国古本地図か何かを頼りにやってきたのではないか。 何度目かに来たとき、地下鉄赤坂駅に痛快洞という古本屋があるということを聞きつけ、行った。正面から見ると左右に入口があり、その両脇に本が積み上がっている。ちょっと見ただけでも気になる書名があったので...