芸人本書く列伝classic vol.50 立川吉笑『現在落語論』

立川吉笑『現在落語論』(毎日新聞出版)は、一言で表すなら「完璧」である。 落語論として完璧である。何が完璧なのかと言えば、現状分析である。吉笑の大師匠に当たる立川談志は「現状分析の出来ない者のことを馬鹿と呼ぶ」と定義したが、その伝で言えば吉笑はこの一冊で己が馬鹿ではないことを証明して見せた。自分の立つ位置の観察・分析が完全に出来ている。 ...

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芸人本書く列伝classic vol.49 篠原信一『規格外』

芸人本書く列伝classic vol.49 篠原信一『規格外』

この本が届いたその日あたりに、韓国大巨人ことチェ・ホンマンに詐欺容疑で逮捕状が出された、というネットニュースを見た。これ、シンクロニシティ?(それにしても、あの件はどうなったのだろうか)。 今回ご紹介したいのは、篠原信一『規格外』(幻冬舎)である。芸人本書評のコーナーなのに元柔道銀メダリストでカテゴリーエラーもいいところかとは思うが、緑...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・大岡山「六畳ブック」自由が丘「東京書房」祐天寺「北上書房」ほか

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・大岡山「六畳ブック」自由が丘「東京書房」祐天寺「北上書房」ほか

年末年始は食事制限が甘くなるので、体についた余分な肉を落とすべく、なるべく歩き回っていた。歩いても燃やせる脂肪はわずかで、食べるほうを減らさないとどうにもならないのだけど。 所用があり、家を出たところで、はてどこに行くべきか、と考えた。最近あまり歩いていない付近に足を延ばしたい。となると、横浜の白楽付近か。それとも、もう少し近場を攻めるか。考慮...

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芸人本書く列伝classic vol.48 嘉門タツオ『熱中ラジオ 丘の上の綺羅星』

芸人本書く列伝classic vol.48 嘉門タツオ『熱中ラジオ 丘の上の綺羅星』

今、死ぬほどむかつきながら一冊の本を読み終えた。 死ぬほどむかついている。しかし非常におもしろい。敢えて言うならむかおもしろい。 嘉門達夫『丘の上の綺羅星』(幻冬舎)がその本である(ハルキ文庫収録にあたり現行題名に。また著者名も現在は嘉門タツオだが原文はママとする)。 今回に限り先にご注意申し上げておく。嘉門達夫ファンが読んだら逆に...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・沼津「平松書店」小田原「高野書店」

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・沼津「平松書店」小田原「高野書店」

5-4=1 さあ、どうしよう。 冬季の青春18きっぷである。五回分のうち、一つはいわき行で使った。残る四回は仙台行の往復を杉江松恋・若林踏の二人分で、というつもりだったのである。ところが前の記事でも書いたように、若林氏が仙台行の復路を放棄したため、一回分が浮いてしまったのだ。 使用期限は一月十日まで。 そして、今日がその一月十日であ...

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芸人本書く列伝classic vol.47 井上二郎『芸人生活』

芸人本書く列伝classic vol.47 井上二郎『芸人生活』

又吉直樹『火花』(文藝春秋)がついに200万部を突破し、作品が全文掲載された『文藝春秋』の当該号も105万部を刷ったという。過去の最大部数は綿矢りさと金原ひとみの芥川賞受賞作が掲載された号で118万部だったそうだから、それに告ぐ数字だ。間違いなく『火花』は2015年最大のヒット作と言えるだろう。 芸人が書いた作品であり、芸人のことを書いた小説な...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・石巻「石ノ森萬画館」と仙台「昭文堂書店」

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・石巻「石ノ森萬画館」と仙台「昭文堂書店」

「若林君、今から帰ると僕は二十三時くらいに家に着きますよ。君の場合は何時になるか教えてほしいかい」 「いいですよ。だいたい見当がつきますから。まあ、飲み過ぎて終電コースというところじゃないですか」 「だよねえ。ちなみにさ、それは昨日と同じで東北本線で帰った場合だよ。もし福島で常磐線に乗り換えたとするとだねえ」 「なんでわざわざ常磐線...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・仙台「萬葉堂書店鈎取店」

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年1月・仙台「萬葉堂書店鈎取店」

青春18きっぷが使える時期になると、それを使っていずこかに遠出をするのが恒例になってきた。夏は関東と東海を巡ったので、次は北へ行くのである。 年末年始の書評家などは暇なものだ。十二月下旬に配本される書籍というのは少なく、ということは主だった仕事は上旬には終わってしまうわけである。青春18きっぷを使える期間は十二月十日からだから、これは自分のため...

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芸人本書く列伝classic vol.46 新倉典生『正楽三代 寄席紙切り百年』

芸人本書く列伝classic vol.46 新倉典生『正楽三代 寄席紙切り百年』

寄席に行くと15~20分の持ち時間をもらってさまざまな芸人が出てくる。落語家以外の芸人を色物と呼ぶが、その色物と落語家が上手い具合に配置されて登場する。必ず決まっているのは膝代わりだ。中入り後に最初に出てくるのが「喰い付き」、その後一人「膝前」を挟んだりなかったりもするが「トリ」を務める落語家の前に登場するのが「膝代わり」の芸人だ。ここは必ず色物の芸...

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芸人本書く列伝classic vol.45 藤原周壱『前座失格!?』

芸人本書く列伝classic vol.45 藤原周壱『前座失格!?』

すべての人間が夢を叶えられるわけではない。 天に輝く星があれば、その高さから墜ちた流れ星の数はもっとある。 さらに言えば、星の高さまで届くこともなく燃え尽きた者の数はその数十倍にも達するだろう。 芸人本の中にはそうした「星に届かなかった者たち」が自らの人生について綴ったものも多く存在する。実名を出して恐縮だが、秋山見学者『たけしード...

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