杉江松恋不善閑居 都賀・トルバ堂書店
某月某日 総武本線の八日市場から引き返してくる途中、都賀駅で降りた。千葉駅から二つ目、初めて降りる駅である。駅から西へと進む道はなだらかな坂になっており、くだっていく。途中に廃業したレンタルビデオ屋の建物が出現した。まだ平成の残滓が消えずにある。 坂道を下りきる手前、途の右側に出現するのがトルバ堂書店である。初めて来た。 坂の途中ということ...
杉江松恋不善閑居 総武本線最東端の古本屋・八日市場「ワンブック」
某月某日 仕事が一段落したともしてないともいえる感じなので、ちょっと気分転換に出かけることにした。青春18きっぷを持って千葉方面へ。東京駅から総武線快速に乗り、千葉駅で銚子駅行きの総武本線に。ここから約1時間半ほど行くと銚子市の隣、匝瑳市に入る。匝瑳市には二軒の古本屋があるはずなのだ。 そのうちの一軒が11時に開店するという。まずはこちらから攻め...
杉江松恋不善閑居 『芸人本書く派列伝』は浅草キッド推薦本である
某月某日 また新刊『芸人本書く派列伝』のお話。 本を出すにあたり、帯に推薦文をいただくという話になった。一人は当然、連載媒体であった〈メルマ旬報〉編集長の水道橋博士である。そこにもう一人。ならば玉袋筋太郎しかないだろう。別件の取材でお会いしたときにお願いしたところ、快く引き受けてくださった。というわけで『芸人本書く派列伝』は「浅草キッド推薦」なの...
杉江松恋不善閑居 お笑い浅草21世紀と水道橋博士生誕祭
某月某日 本日が八月の千秋楽となる、お笑い浅草21世紀の木馬亭定例公演へ。歌のコーナーにゲストで天中軒月子さんが出演されるので、師匠の雲月会長にお誘いいただいていたのである。月子さんの出番は前半、「月に雲、地に歌、人に心」のキャッチフレーズは私が独演会のときにつけたものなのだが、気に入っていただきこの日も間のMCで言ってくださった。みなさんも三...
杉江松恋不善閑居 8月下旬発売になる『芸人本書く派列伝』(原書房)のこと
某月某日 家に籠って奥泉光と取り組んだ一日であった。 特に書くこともないので近刊について今一度。 新刊『芸人本書く派列伝』は原書房刊で、8月23日書店搬入、早いところではその週末から、遅くても来週には販売が始まるのではないかと思う。 これは〈水道橋博士のメルマ旬報〉に創刊から休刊まで、約10年にわたって連載した芸人本書評をまとめた一冊...
杉江松恋不善閑居 私はカゴ直利が大好き
某月某日 台風なので一日籠って仕事。相変わらず奥泉光と格闘している。 先日、浜松の典昭堂でずっと探していた全集を見つけたと書いたが、上にあるのがそれである。集英社『学習漫画日本の歴史』だ。 歴史を扱った学習漫画は各社から出ている。集英社からも1968年に全18冊で刊行された。和歌森太郎監修で、作画は初めカゴ直利、幕末篇から宮坂栄一に切り替わ...
杉江松恋不善閑居 石の上には黙って二年~立川談四楼北沢独演会
某月某日 夕刻から出かけて下北沢の北沢八幡宮で立川談四楼さんの北沢独演会。ゲストがいつもアートスペース兜座の独演会でお世話になっている木村勝千代さんなのである。曲師は広沢美舟さん。終戦記念日ということで戦争の話を、とリクエストがあり「真黒なおべんとう」とネタも決まった。これは行くしかないだろう。 少し早めに着いて、勝千代さんと一緒にテ...
杉江松恋不善閑居 千ページの間に仕事もする
某月某日 引き続き奥泉光に没頭していたのだが、さすがに日銭を稼ぐ必要もあるので原稿を2本書いて送った。今月は稼ぎが悪くて、この原稿料を入れてもまだ稼がなければならない目標額への進捗率が12.96%である。サボっているわけではないのだが、新著を出したときは慌ただしくなるのでだいたいこんなものなのだ。 泥縄式ではあるが急いで営業をかけたところ...
杉江松恋不善閑居 読んでも読んでも千ページ
某月某日 今年はどうしたものか、千ページ超えの大作が多い。京極夏彦『了巷説百物語』が出て、マット・ラフ『魂に秩序を』が出て、もうこれで終わりかと思ったら奥泉光『虚史のリズム』が出た。『虚史のリズム』と一日格闘していたので、他のことは何もできていない。これは手ごわいがやりがいのある相手だ。書き下ろしの原稿もあって奥泉世界だけに浸っていられる身の上ではない...
杉江松恋不善閑居 鬼怒川で水道橋博士『本業2024』を読んで考えた
某月某日 鬼怒川にて目覚める。朝食は定番の湯葉かと思ったが違った。大きな鮭のかま焼きがメインで、これはこれで美味しい。宿を出て河畔を少し歩いてからチェックアウトする。 鬼怒川駅は7年前からSL大樹号の発着駅になっており、転車台が移設されている。ちょうど大樹がそれに乗って方向転換するというので、柵にしがみついて録画した。著作権上で問題がなければ、Y...