2016年末特別企画:『戦場のコックたち』著者・深緑野分氏に聞く
日本の優れた創作作品を世界に紹介するという意図で開始されたコンクール〈SUGOI ! JAPAN〉が2016年も開催された。最終的には一般投票で優秀作品が選出されるのだが、〆切は2017年1月3日、間もなくである。未投票の方はぜひ、いっぺん候補作リストを覗いてみてもらいたい。 杉江はこのコンクールのエンタメ小説部門候補作の選考委員を務めている。2016...
杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー5位 青山文平『半席』(新潮社)
※『半席』が新潮文庫に入りました。解説はミステリー書評家の川出正樹氏です。 青山文平『半席』は、ミステリーとしても秀逸、という同業者の言葉を聞いて手に取った作品である。すでに直木賞受賞作『つまをめとらば』などの諸作でその実力の程はよく知っていたが、その折紙を貰わなければ読み逃していたかもしれない。一読して納得、たしかに良作だった。武家社...
bookaholic認定2016年度国内ミステリー次点 七河迦南『わたしの隣の王国』(新潮社)
七河迦南の四年ぶりの新刊、『わたしの隣の王国』のページを繰っていくと、まず登場人物紹介の数の多さに驚かされる。だがそれも当然で、〈ハッピーファンタジア〉という夢の国(言うまでもなく千葉県浦安市にあるアレを模している)が主舞台になるため、その世界における主要なキャラクターたちの名前を紹介する必要があるのだ。それが三分の一、残りの三分の二の登場人物は、二人の主...
本屋で年越し前前夜! ~book of the year 2016~
このところ毎年恒例になっていた下北沢B&Bの「本屋で年越し前夜」、今年は諸事情あってさらにその前夜の29日開催となりました。B&Bの芥川・直木賞イベントではおなじみの大森望さん、豊崎由美さんと、いつもニコニコの特番で鋭い分析をされている栗原裕一郎さん、そして杉江松恋の4人が顔をそろえ、おしゃべりで2016年を振り返ります。 とはいえ、最近は先週起きたこ...
2016年「今年もっとも凄い本を語る」12/27
2015年に池袋コミュニティカレッジで行われ、好評を博したイベントの第二弾です。 豊崎由美・西崎憲・米光一成・杉江松恋の4人が2016年に読んだ中から「もっとも凄い本」を持ち寄ってその「凄さ」について語り合う1時間半の集いですが、参加するお客様にもそれぞれの「凄い本」を持ってきていただき、お薦めの数を増やしていければと思っています。 これに近いこ...
杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー10位 宮内悠介『彼女がエスパーだったころ』(講談社)
宮内悠介の連作短篇集『彼女がエスパーだったころ』には三つの特徴がある。 一つは異端とされているものにあえて光を当てる行為だ。たとえば表題作は、ドキュメンタリー作家・森達也がスプーン曲げで一世を風靡した清田益章を取材した『職業欄はエスパー』(角川書店)から想が採られている。〈超能力者〉として世間の好奇心を刺激しまくる存在となった及川千晴という女性が登場...
杉江の読書 bookaholic認定2016年度国内ミステリー1位 真藤順丈『夜の淵をひと廻り』(KADOKAWA)
※bookaholic認定2016年度国内ミステリー1位だった本書が角川文庫に入りました。帯にはbookaholic認定1位と謳っていただいております。書店でご確認ください。 交番勤務の巡査を主人公にした連作ミステリーには乃南アサ『ボクの町』(新潮文庫)などの前例がある。真藤順丈『夜の淵をひと廻り』が先行作とひと味違うのは、主人...
杉江の読書 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリー第6位 ダニエル・アラルコン『夜、僕らは輪になって歩く』(藤井光訳/新潮クレスト・ブックス)
過去の記述から小説は始まる。主要な登場人物の一人であるネルソンがまだ幼なく、その父母の視点を借りなければいけないような過去だ。1980 年代のそのときをネルソンの父親は「不安な日々」と呼ぶ。舞台となっている名前の記されない国で、内線が起きていた時代なのだ。そのころ、ヘンリーという名の劇作家がディシエンブレという名の小さな劇団を結成した。だが彼は後に逮捕され...
bookaholic認定2016年度国内ミステリーベスト10結果速報
12月14日に行われた千街晶之・若林踏・杉江松恋による公開選考会議により、以下の順位が決定しました。ご来場いただいたみなさまに御礼申し上げます。 全候補作リストとあらすじはこちら。 bookaholic認定2016年度翻訳ミステリーベスト10結果速報。 1位:真藤順丈『夜の淵をひと廻り』角川書店 2位:角田光代『坂の途...