街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年8月・静岡「文高堂書店」
(承前) 8月某日 水曜文庫と栄豊堂書店古書部の次は、さらに北を目指す。北街道から駿府城公園の外周に沿って北西に歩いていくと、公園を縦断する城北通りに入る、草深橋の交差点がある。昔の三之丸草深門のあった場所で、それを通り過ぎて最初に見た信号で右折し、二本目の角を左折する。そこで道の左側にあるのが文高堂書店だ。 ■「定価の半額」の...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年8月・静岡「水曜文庫」「栄豊堂書店古書部」
(承前) 8月某日。 ひさしぶりの静岡駅である。というか、先月も静岡駅を通過はしているし、すぐ隣の草薙駅では降りているので、この駅頭に立つのがひさしぶり、というだけのことなのだが。 自宅から来ると、自宅→横浜→熱海→静岡という乗り換えになるので、あまり遠出をした感じがない。さらに高速バスを使うと、自宅→渋谷→静岡なので、自宅...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年8月・南伊東「ひゃくめんそう」「岩本書店」
8月某日 この週末は伊豆熱川で全日本大学ミステリ連合の合宿であった。毎回二日目にはゲストをお招きしての講演会があるのだが、今回は大ベテランの辻真先氏である。講演場所もホテルとは別に伊東市の宇佐美コミュニティセンターをお借りして賑々しく執り行ったのであった。辻さんがゲストに来られたのは二回目で、前回はなんと私が大学に入る前、1985年か、...
杉江の読書 水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)
良質のミステリー短篇集だ。水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)は、著者のこれまでの著作中でもかなり上位に来る作品である。印象的な題名は、全五篇が終わり近くに衝撃的な展開を準備しているとの宣言だろう。ページレイアウトもそれを意識した形であり、単行本になって「小説推理」掲載時よりも興趣は増したと私は感じた。 巻頭の「使い勝手のいい女」は『...
杉江の読書 田中兆子『私のことならほっといて』(新潮社)
2018年に読んだ短篇の中でぐっときたものの一つに、田中兆子「私のことならほっといて」がある。「働く妻にとても理解がある」が「僕は君より五倍稼いでるんだよ。だから家事は君の担当」と平然と言うような夫に内心嫌気が指している女性が夢の中で出会った男との情事に溺れ、ついにはそのために極端な行動に出てしまう、という話だった。根底に女性の生きづらさという重い主...
杉江松恋不善閑居 2019年6月~7月の浪曲鑑賞記録
ゆえあって最近、再入門のつもりでまとめて浪曲を聴いている。記録をつけていて、6月から7月にかけては14公演に足を運んでいた。うち、1日で2公演行っているところがいくつかある。最も衝撃を受けたのは、7月9日に聴いた、京山幸枝若「尾張大八」だった。あれを10代とか20代のうちき聴いていたら、たまらなくなって弟子入りしていたかもしれない。それくらいびっくり...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年8月・白楽「相原書店」「小山書店」「古書鐡塔書院」
8月某日。 反町の神奈川古書会館を出て、さあ、もう少し歩くか、とやる気が出てきた。三時間ほど前に湯河原でリゾートマンションから駅まで歩いたときはわずか10分であごが出たのだが、日も落ちてきたし、前途に古本屋があると思うと力も湧いてくる。ここは横浜市神奈川区で、東横線がすぐ東側を走っている。疲れてしまってどうにもならなくなったら、駅に方向...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年8月・神奈川県古書会館「反町古書会館展」
8月某日 一泊二日で湯河原まで行ってきた。花火大会を海辺のリゾートマンションの最上階から見物しよう、という企画があって、PTA会長同期で集まったのである。私がPTAの会長を辞したのは2011年3月のことだから、もう8年前だ。同期の会長連もみんなそれぞれ年をとって、自分の健康だとか、親の介護といった話題が多くなってきている。だが、まだ人生...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年7月・五反田游古会「南部古書会館」
7月某日 日本の古本屋のページを開くと「古本まつりに行こう」というコーナーがある。そこを毎日チェックするのが諸姉諸兄の日課になっていると思うのだがどうか。 古本まつりといっても一様ではなく、相性の良し悪しというものがある。私の場合、もっとも相性がいいのが品川区の南部古書会館で開かれる五反田游古会で、いつも何かしらの発見があるのであ...