「若い=入門10年未満」「おじさん=入門時33歳以上」の二ツ目が芸を競い合う会として発足した興行の第二弾である。会の趣旨などは第1回のレポートを参照のこと。
この日の口上トークでちょっとしたハプニングが発生した。本会の参加資格を上記のとおり「入門10年未満だが入門時33以上、かつ現在40代」の落語家として発表していたのだが、柳家さん光さんが実はまだ誕生日が来ておらず、40代になっていなかったことが発覚したのだ(というか、前回の打ち上げで判明して、どこで暴露するか相談していた)。前回の勝ちをさらったくせにそれはないよ、とは言うものの、まあだいたい40代だし、気がつかなかったことにしよう、という結論になった。ちなみに現時点では40代に突入されたのでまったく問題なしである。
対戦者の三遊亭鯛好さんはあちこち断られた後で現師匠の三遊亭好楽に拾われた、という苦労人で、一度は落語協会に登録を許されかけたのに、「やっぱり年齢制限を設けよう」という動きになって反故にされたという悲運の主である。そのときの足切り基準になったのが、当時の前座名おじさんだったさん光さんの年齢だったという噂もあり、いわば因縁の対決といえる。
いや、別にさん光さんの責任ではないわけだが。
この日もじゃんけん運が強く、さん光さんが1番目と3番目の順を引き当てた。今回のお題は「猛暑を忘れさせてくれる『いい女』の噺」である。
というわけで番組である。ここから敬称略。
熊の皮 さん光
粗忽長屋 鯛好
仲入り
幾代餅 さん光(いい女の噺)
浮世床 鯛好(いい女の噺)
熊の皮は自身の味を前面に押し出し、ちょっと抜けているが憎めない性格の甚兵衛さんを好演した。エキセントリックな性格と図抜けた暢気者、二人の粗忽者の登場する粗忽長屋もとぼけた内容の噺であり、前半はキャラクター勝負となった。
後半の先攻は幾代餅で、いい女の出てくる噺としては直球勝負の選択である。対する浮世床は「夢」でいい女が登場する。比べるとやはり正攻法の幾代餅に軍配を上げざるをえなかった。どう考えてもトリネタなのに、あえて食いつきに持ってきて聴衆に印象を刻み込んださん光作戦勝ちである。これで二連勝。現時点では単独首位である。
さて、2日後の9月7日(水)19時から第3回中年の星争奪戦が開催される。3回目には落語芸術協会から春風亭柳若さんの登場、対するは今回一敗を喫した三遊亭鯛好さんである。今回のテーマは「人生を感じさせる噺」。実は柳若・鯛好のお二人とも、大のロック好きで、ぜひともロックを感じさせるような反骨心に溢れた噺をお願いしたいと私がリクエストしたのだ。秋に入ったとはいえまだまだ暑いが、それを吹き飛ばすような熱い噺を演じてくれるはずである。9月7日はぜひBIRIBIRI寄席にお運びください。