「がらくた落語再生工場」というイベントは、柳家花緑門下の二ツ目・花飛(かっとび)さんが発案者なのである。新作落語にとりかかったはいいが、なんらかの事情があって途中で投げ出してしまった。そういう「がらくた」を持ち寄り、交換し合って完成させる。ゆえに再生工場なのだ。
メンバーは花飛さんのほか、三遊亭歌之介門下の天歌さん、三遊亭円丈門下のはらしょうさん。しかもこの3人が単に着物姿で高座を務めるのではなく、それぞれ工場長に扮して寸劇形式で会を進めていく。会の題名が「がらくた落語再生工場 第2話」となっているのは、続きものという設定を活かしてのことだ。
この日の番組は以下の通り。
朝令 楽屋一同
ちょう災難 花飛(←天歌)
明るい悩み相談室 はらしょう(←花飛)
影武者佐吉 天歌(←はらしょう)
終令 楽屋一同
「ちょう災難」はものすごく不器用な男がレストランに行ってどんどん災難に巻き込まれていってしまう、という噺。状況がエスカレートしていってしまうパターンで、これは寄席などでも掛けられるな、という印象だった。オチは長身の花飛がやると見栄えがしていい。
「明るい悩み相談室」はいわゆる根問い形式の噺なのだが、質問に答えるのが天国に召されたはずの中島らもというのがおもしろい(後で演者には伝えたのだが、現実の中島らも氏はもっとダンディだったです)。「たまにしゃべる置き物」中島らもの特徴をうまくとらえて演じて、キャラクターだけでも笑える卑怯な一席だった。
「影武者佐吉」は最近「真田丸」にはまっていたという天歌が、「ヒーロー願望の変形として暗殺されたい男」というはらしょうの元ネタをうまく換骨奪胎、本多正純によって見いだされ徳川家康の影武者となった男、の噺とした。口調が時代ものにぴったりはまり、これも普通の席で掛けられそうだと感じた。
他ではできない実験的な落語会に場所を貸すのが「マイクロシアター電撃座」の方針だが、これこそまさに世に二つとない会となった。次回の公演は4月19日(水)に決定。工場主たちの奮闘が見たい人は今から予定しておいてください。
次回の電撃座公演は1月18日(水)、落語芸術協会からお気に入りの立川談幸さんにご出演いただく。トリネタは「文七元結」と予告も出ました。乞うご期待。
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