「若いおじさんの会」は東京の4落語団体の中で「若い=入門10年未満」「おじさん=入門時すでに33歳以上」の二ツ目にお声がけして開始した落語会シリーズだ。落語芸術協会から春風亭柳若さん、落語協会から柳家さん光さん、五代目円楽一門会から三遊亭鯛好さん、落語立川流から立川寸志さんをお迎えし、2016年はリーグ戦形式で覇を争っていただいた。その続篇としての「ハローワーク編」は上記の4演者がそれぞれゲストを迎えての開催となる。30代で入門を果たしたということは前職があったわけで「転職と落語家という天職」についても語っていただこうという趣向である。1月23日の会では五代目円楽一門会の三遊亭楽天さんにお越しいただいた。
この日の番組は以下の通り。
オープニングトーク 柳若・楽天
平林 楽天
壺算 柳若
仲入り
金明竹 楽天
宿屋の富
三遊亭楽天さんの前職はストリートダンサーである。現在の体形を見ると思わず首をひねりたくなるが、踊っていたころはもっと痩せていて、髪型もドレッドだった由。私は西新宿に住んでいた時代があるのだが、新都心の超高層ビル街あたりでダンスの練習をしていた楽天さんとは幾度もすれ違っていたかもしれない。柳若さんのご趣味がロックだということもあり、トークは主にそういう方向で盛り上がった。楽天さんは平林の定吉や金明竹の与太郎を演じると突き抜けるような明るさがある。対して柳若さんは、壺算や宿屋の富の一文無しを苦笑したくなるようなペーソスを交えて賑やかに演じ、客席はずっと温まりっぱなしだった。