落語会レポート 大阪の地で小さな落語ファン誕生の瞬間を見てきた 20170318

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満員御礼。親子連れのお客様も多かった。

立川談四楼さんが大阪で独演会を開かれる、しかも企画をされたのが「オールナイトで談四楼」常連のAさんで、これが席亭デビューになる、という情報を聞いてぜひ伺いたいものだと思っていた。ちょうど別件で仕事も入り、無事に大阪入りを果たせたのである。

会場となったのは天王寺区にある銭屋ホール。先日、本年度の文部科学大臣賞芸術選奨の受賞者が発表されたが、対象となった桂ざこばの公演はこの会場のこけら落としであったという。それ以来の落語会ということもあったのか、定員200名ほどの会場にはほぼ満員のお客さんが詰めかけた。

この日の番組は以下の通り。

つる 只四楼

井戸の茶碗 談四楼

仲入り

ねずみ穴 談四楼

私の席はちょうど親子連れのお客さんが多いあたりだったのだが「つる」で只四楼さんが探りを入れたあたりに、「井戸の茶碗」で談四楼さんが竿を投じ、見事に釣果を挙げられるさまを間近で目撃できた。小学生ぐらいの子供たちが大きな口を開けて笑っていたのである。たぶん落語鑑賞を生でしたのは初の体験だったはずだ。聴き初めに良い高座に当たったものである。彼らがよき落語ファンに育ちますように。

仲入り後は談四楼十八番の中から「ねずみ穴」。初心者が多いであろう会場で、妥協せずにシビアなネタを投じてきた。さっきまで大笑いしていた子供たちが凍り付いたような顔で高座を見上げている。それもそのはずで、親の借財のために子供が吉原に売られてしまうという展開があるのだから。ここであえて子供向けの噺をしないところが良い。大人の世界を垣間見たこと、そのかたわらに優しい親の存在があったことを後年きっと思い出すことになるだろう。繰り返すが、本当にいい高座を最初に聴いたものである。

この会、毎年の恒例になる由。ぜひ来年も伺いたいと思っている。

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