筑波大学芸術学系出身(しかも修士)の立川志のぽんさんが左甚五郎伝などの噺に挑む「志のぽん江戸名工烈伝」は、電撃座ならではの他にない企画だと自負している。予告の出ているネタだけではなく、毎回他の噺にも工夫が凝らされていて、聴いていて発見があるのだ。
前回が実は演者体調不良で休演になってしまい、第五回が2017年初の公演となる。
今回の番組は以下の通り。
悋気の独楽 志のぽん
応挙の幽霊 志のぽん
仲入り
幇間腹 志のぽん
「悋気の独楽」は妾を持った旦那を怪しみ、おかみさんが小僧の定吉に後をつけさせるところから始まる噺だ。前から思っていたが、志のぽんさんの定吉は可愛い。まるで昭和の漫画のような風情がある。この悋気の独楽でも旦那をつけて浅草の仲見世通りにさしかかったとき、おもちゃ屋の独楽を欲しがる場面があって、そこがよかった。実はオリジナルのさげの伏線でもあるのだ。
予告の出ていた「応挙の幽霊」は、応挙のものといって幽霊画を売った男が夜中にささやかな宴を開いていると、掛け軸から抜け出してきた幽霊がお礼に現れるというのがあらすじである。これもオリジナルのさげがついていて、最後は単に不思議なだけではなくて立体的な構成になって終わる。予告ネタだけでに工夫を凝らしてきてくれた。
最後は賑やかに幇間の噺だ。誰でもやるネタだが、志のぽんさんの一八は裏表の感情の差が激しいのがおかしい。オーソドックスな演じ方だが満足度も高かった。
次回は5月23日(火)の予定である。どうぞお見逃しなく。