『そこにいる』『やってくる』ときて、次はなんだろう、と考えて浮かんだ題名である。サークル〈腋巫女愛〉の小説第3弾は『博麗霊夢はどこにいる』となった。
この巻は長篇1本と短篇1本の構成になっている。〈赤色バニラ〉のくまさんに表紙をお願いしたときは水橋パルスィのことを書きたいなあと思っていたのでそういう絵柄を発注したのだが、後になってもう一つの話のほうが大きくなってしまい、パルスィが出てくるほうはおまけのような扱いになった。妬まれているに違いない。
表題作にはオリジナルキャラクターが出てくる。といっても史実上に実在した人物で私が独自で考えたものではないのだが、幻想郷にその人物を登場させるやり方には非常に気を遣った。自分で考えたお話の空想部分を書きたいという気持ちはもちろん大きいのだが、それが原作の世界観を侵すことは本意ではないのである。自分オリジナルの発想を入れながら絶対に本来の幻想郷世界を壊さない、という実験ができて、これからも二次創作を続けていけるという自信がついた一作となった。
「博麗霊夢はどこにいる」
ひさかたぶりに博麗神社を訪ねた伊吹萃香は、主である巫女を差し置いて幻想郷の住人たちが社務所に詰めているのを目撃する。幻想郷のパワーバランスを壊しかねない事が出来し、緊急会議が開かれていたのだ。
「博麗霊夢のどこまでやるの」
旧地獄への門番として橋を守る水橋パルスィには近頃悩みがあった。友人が豪放磊落すぎて、困ってしまうのだ。そこに博麗の巫女がやって来て、思わぬことを言い出した。