街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年4月・磐田「武蔵野書店」「山田書房」

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4月某日

東海道二十八番目の宿である見附は丘陵の上にある。おそらく、かつては今よりも内陸部まで海岸線が入りこんでいたのではないだろうか。宿場からJR磐田駅に向かって下っていく坂道は、今は磐田ジュビロードと名付けられている。市街地の中心部にこれほど真っ直ぐな急坂がある街というのも珍しいのではないだろうか。

旧東海道を袋井方面から歩いてきて、日が西に大きく傾いたころにこのジュビロードに差し掛かったのであった。すでに宿場踏破は終わっているので、目指すものは一つしかない。

古本屋である。

磐田の駅前には二軒の古本屋が営業している。一つは駅の近く、そしてもう一つはこのジュビロードの中程を西に入ってしばらく歩いたところにあるのだ。車通りが激しく埃の立つ道をとぼとぼと行く。やがて見えてくるのが武蔵野書店である。こちらに見えるようにだSレ田看板に「古書・茶道具整理引受ます」とある。古本屋ではあるが、骨董・古道具の扱いが多くなっているという評判なのだが、店頭に立つとそれが裏付けられる。先述のものと向かい合うように下がったもう一つの看板には「カンナノミ買います」の文字があり、店頭のガラス戸に貼られた紙にも「鉋大工道具買入」「砥石買いまス」と。ずいぶんいろいろな古本屋に行ったが、初めて見る貼り紙だ。

店頭には100円均一の本が無造作に積まれている。最近の雑本というわけではなく、けっこうおもしろい本もその中にはある。漫画家・増田昭造が落語家との交友について書いた『快人噺家十五面相』を拾って店内へ。

中に入ると縦に四本の棚が置かれている。私が関心がある文学書は初版本などが主で、どちらかといえば古道具の占める割合が多い。手前に旧い雑誌を積んだ平台があるのだが、そうしたものや切符、絵葉書などの紙ものが主という印象である。

結局増田本だけを手にして帳場に向かうと、店主はカッター台の上で何やら工作の真っ最中である。お声掛けしたのだが耳に入らない様子なので、しばらく待つ。100円の本のために作業を中断させては申し訳ない。ややあって手を休めた店主に、無事100円を受け取ってもらえた。

ジュビロードに戻り、ひたすら下っていく。もはや駅も目前というところで今度は東に折れる。道はすぐに住宅街になるのだが、その先にもう一軒の古本屋・山田書房があるのである。

サッシ戸を開けて中に入ると、すぐ左が時代小説の目立つ文庫棚である。本棚は横置きで2本。手前が芸術系、その裏が民俗系の棚である。奥が大判の美術書、裏にアングラ文化や性風俗関係の本。

入口から見て文庫棚のある左側奥に帳場があり、さらにその奥は郷土史関係のコーナーで、そこから奥側の壁半面にここだけというような珍しい本が並んでいる。歴史・民俗の調査書なども多く、めくって見るのに結構な時間がかかる。残りの半面は古典芸能の関連書である。右の壁棚は奥がカメラ関係の大型書などで手前に文学関係。手前の入口と同じ手前側の壁にはコミックのコーナーがあり、ここでコンタロウ『プロレス鬼』を見つけた。『1・2のアッホ』連載中でギャグ漫画家として名を馳せていたコンタロウが、趣味のプロレスに関して月刊少年ジャンプに描いた読切作品の短篇集である。探すとなかなか見つからない本なので、ありがたくいただく。この他、郷土史のコーナーで『椿の花散る道 姫街道』上下巻を。これはやがて姫街道を歩くときのための資料である。

店を出てホテルへ。今日はここで泊まる予定だ。磐田の名物が何か知らないが、とりあえずビール、もしあればホッピーと行きたいところである。

磐田駅前の鳥新さんでビールを飲みました。

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