某月某日
本日から神田松之丞改め六代目神田伯山の真打披露興行が始まる。普段とは違って新宿末廣亭が昼夜入れ替えあり、しかも整理券発行の見込みという盛り上がりぶりで、ここは日祝日がお休みの方に譲って自由業の人間は平日に回るべきだろうと判断する。といっても39日間の興行はすべて満席だろうから、いつが空いているということもなさそうなのだが。できれば新宿、浅草、池袋と三会場では聴いておきたい。4月1日が広小路亭なのだが、あそこに人が押し寄せたらどこに並ぶのだろうか。横断歩道を渡って列が鈴本まで届いてしまうような気がする。ちなみに日本講談協会のホームページによれば、あちらの真打披露興行は4月を予定しているとのこと。
三省堂書店池袋本店の古本まつりが今日で終わりだったので、末廣亭は諦めて潔くそちらに向かう。開場すぐに着いたので、人があまりいなくていい感じだ。すると、神様のご褒美なのか思わぬ拾い物が。新日本出版社の『世界短編名作選 ソビエト編』である。おお、これで残すは『ロシア編』『ラテン・アメリカ編』『東南アジア編』の3冊のみ。やはり最後の一冊になるのは『東南アジア編』なのだろうか。もう一冊、講談研究会編の『長篇講談 侠客野狐三次』(富士屋書店)が安かったので買う。この話、最後まで通して聴いたことがないのだ。
池袋から、もう一ヶ所吉祥寺へ。吉祥寺中道通りの展示室八月の空というスペースで、今日まで「空と虹と古本市」という催しをやっているのだ。出店は朝霞書林、うららや、碧山文庫、サルトリイバラ、脳天松家、Rainbow books、ママ猫の古本やという屋号とのこと。先日開店した古書防破堤よりもさらに奥まったところにその場所がある。中道通りのアーチを出た向こう側だ。中に入ると気持ちのいいこざっぱりとした作りで、各所に20~30冊ぐらいのまとまりで棚に本が置かれていた。朝霞書林のところで気になる本が何冊かあったが、予算が折り合わず。洋泉社のムック『世界のカルト監督列伝』があったので、ダブりかもしれないが引き上げておくことにする。
すぐに帰ろうかと思ったが、やはり古書防破堤に寄ってしまう。レジ横の均一棚にマルティン・ベックものの高見浩訳角川文庫があったので、これも拾っておく。年輩の男性が「空と虹の古本市」のチラシを店主に見せて道を聞いていた。もっともっとずっと奥なんです、と店主。そうそう。こんなに歩くのか、と心配になるぐらい奥なんですよ、おじさん。
そこからつい古書一日にも立ち寄ってしまうが自制心が働いて本は買わず。次のバサラ・ブックスでもなんとか通過できたのだが、古本センターで浪曲のカセットボックスを見つけ、これは辛抱できずに買ってしまう。いや、浪曲はしかたない。これはむしろ仕事の資料だから、と自分に言い聞かせて井の頭線の駅へ。仕事の資料といっても、今のところ「ビックコミックオリジナル」と『玉川太福読本』に原稿を書いただけで今までの投資分はまったく回収できていないわけなのだが。
帰宅すると、どうしても必要になってAmazonのマーケットプレイスで注文していた唯二郎『実録浪曲師』(東峰書房)が届いていた。ここから続々と浪曲資料本が届く予定である。来月の支払いが怖い。