新型コロナウイルスとはまったく関係なく、仕事が遅いせいでいろいろまずいことになっているのだが、それとは別に書いておきたい。
昨年後半、エキサイトレビューで〈新鋭作家さん、いらっしゃい!〉という連載を始めた。デビュー作、そこから多くても三冊目までの新人だけを対象にして書評をするという企画で、毎週月曜日に更新してもらっていたのである。ミステリーから純文学まで、ジャンルは問わずに作品を取り上げてきた。
これを始めたのは単純な理由で、新人の書評はなかなか出にくいからである。世の中の人も新しい才能と出会いたいと思っているのに、書店で不見転では本も買いにくいだろう。であれば、そのお見合い係を私が受け持とうと思った。書き手の私は、何かの口実がないと手に取らなそうな本まで読むことになるから、これまた損はしない。三方一両得になる、という判断の連載だった。
これを始めるにあたり、編集のアライユキコさんにお願いして、書評の下部に自分で録ったyoutubeの動画をくっつけてもらうことにした。〈ポッケに小さな小説を〉という題名で続けているやつで、これはその週に読んだ小説誌の掲載作から、気に入った短篇を一つ選んで紹介する内容である。
短篇小説レビューというのはあまり世の中にない。単行本にまとめられないと雑誌掲載のまま一部の人の目にしか触れないで終わってしまうものもあり、実にもったいないと思っていた。私は日本文藝家協会の仕事で年間アンソロジーの編纂をやっており、一年に数百本の単位でそうした雑誌掲載の短篇を読む。その多くは読み捨てになってしまっているので、せっかくだから定期的に紹介をしていこうと考えたのであった。
新人発掘の意味がある〈新鋭作家さん、いらっしゃい!〉と短篇小説レビュー〈ポッケに小さな小説を〉、私としてはかなりの気合と覚悟をもって始めた連載であった。どちらもやるからには三年は続けたいと思っているのである。そのくらいやればレビューとして定着するし、他にも同じことをやる人が出てくるかもしれない。中途半端では止められない。
そう思っていた。
なのだが少々困ったことになっているのである。
詳細は省くが、エキサイトを運営している会社が、原稿の掲載基準を変えることになったからだ。〈新鋭作家さん、いらっしゃい!〉の連載を止めなければならなくなったのが昨年の年末で、様子を見ながらこのbookaholicに一時的に移転して続けていた。時期が来たらまたエキサイトに戻るつもりだったのだが、どうやらその目がまったくないことが判明したのである。
これは編集担当のアライさんの責任ではなくて、もっと上位の方針転換だからどうにもならない。開始から10年近く関わってきたエキサイトだけに愛着はあるが、連載の移転先を考えるべきときが来たようだ。新人作家の発掘と短篇小説の普及、どちらも今やっておきたいことであり、途中で投げ出したくない。
もちろんこのbookaholicで続けることは可能なのだが、できれば自前ではない媒体で、原稿料をいただきつつ、編集者と一緒に続けたいのである。編集者と、というところが一番大事であり、品質の高いものにするためには自分の力だけでは心もとない。その次に大事なのが原稿料かな。なにがしかの対価が発生するということで仕事として確立したいのだ。自前の媒体でこれをやるということは、現状なかなか難しい。
というわけでこれは引っ越し先探しのお願いなのである。上のような趣旨で連載をさせてもらえる媒体、編集者の方、もし心当たりがあったらお声がけいただけませんでしょうか。即時性を重視したいので希望はネットなのだけど、紙媒体でももちろん嬉しいです。このようなお願いをしたことはあまりないので気恥ずかしい。どなたかご検討をいただけましたら幸いです。
過去の〈新鋭作家さん、いらっしゃい!〉原稿はこちらからご覧になれます。
短篇小説レビューのほうは、〈新鋭作家さん、いらっしゃい!〉のお引越しとは関係なく間も無く再開する予定です。
【追記】
おかげさまでこのエントリーは多くの方に読んでいただき、SNS上などでも拡散されました。ご協力くださった方に感謝申し上げます。
もしよかったらうちで、というお申し出もいただいております。これからご相談しますが、たぶん〈新鋭作家さん、いらっしゃい!〉のみのお引越しということになるんじゃないかな。その場合も、短篇小説レビュー配信はこつこつ続けていきたいと思います。本当は、一人じゃなくて、〈翻訳メ~ン〉や〈ミステリちゃん〉のようにどなたかと話しながらやったほうが楽しいんですけどね。
以上、途中経過の報告でした。