4月17日
本に関するアンケートをツイッターで毎日とっている。特に何か目的があって始めたわけではないのだけど、今週は書店に関することをまとめて伺うことにした。自由に行けなくなって初めてわかる書店のありがたさ。
昨日聞いたのは、書店で本の取り置きや取り寄せを頼んだことがあるかどうか、だった。
連日のアンケート失礼します。また書店について。雑誌の取り置き、本の取り寄せなども本屋の大事な機能ですが、利用されたことはありますか。よかったらコメントもいただけると幸いです。不可の方は別として頂戴したコメントを引用することがありますので、ご了解ください。よろしくお願いします。
— 杉江松恋@秋季例大祭に向けて気持ちを切り替えました。 (@from41tohomania) April 16, 2020
「取り置き、取り寄せとも利用したことがある」52.7%
「取り置きのみ利用したことがある」3.9%
「取り寄せのみ利用したことがある」30.8%
「取り置き、取り寄せとも利用したことがない」12.6%
総投票数は847だった。意外と取り置き、取り寄せとも利用したことがあるという答えが多かったが、「昔は」という但し書きがかなりの割合でついていた。やはりネット書店が普及してから、この機能のありがたみが薄れつつあるということなのだろうか。かつては利用していたが、肝腎の書店が廃業してしまった、という残念な例もいくつかあった。現在取り置きを利用しているという場合では、地理的な要因で頻繁に大型書店に行けない、という例があった。取り置き・取り寄せ共になんとなく近所の書店に頼むイメージで私は設問を立てていたので、自分の思い込みに気づかされた。そうだ、預けてある本をまとめて引き取りに行く楽しみというものもあるのか。
子供のころは東京でも辺鄙なところに住んでいたので、「ミステリマガジン」などの専門誌は書店に入ってきても部数が少なかった。うっかり買い忘れて悔しい思いをしたことも何度かある。それで取り置きという手段があることに気づき、お願いするようになったのである。
確実に買うための手段が取り置きであり、手に入らないものをなんとかするのが取り寄せである。大学生のころ書店でしばらくアルバイトをしていた。給料が出たので、出版社の目録を見て取り寄せをお願いしたのだが、結局その本は届かなかった。目録に載っているからあると思ったのだ。まだ品切という言葉を知らないころだった。あまり相性のよくなかった店長に「ざーんねん、本は届きませんでした」とからかうように言われたのにむっとして、しばらくしてからそこは辞めてしまった。
私が最後に取り置きを利用したのは、定期購読をしていた某雑誌だった。その雑誌についての興味が薄れてしまい、取り置き分が何号か溜まってしまうようになって、書店に迷惑だと思ってやめたのである。ついでにその雑誌を読むのも止めてしまった。最近はまた、別の雑誌でお願いしようかと思っている。
引用はしないが、本の嗜好と連絡先などの個人情報がわかってしまうことについての不安を表明された方もあった。たしかにそれは、現在では無防備に他人に渡すことが躊躇われる事柄かもしれない。上に書いたのとは別の雑誌を書店に頼んでいた時期もあった。それはどちらかといえば成人向けに近い内容だが、読みたい連載があったので、買い忘れないようにお願いしていたのである。そういうたぐいの表紙なので、レジにいるのが女性の店員だと済まないような気がして、男性がいるときを見計らって取りに行っていた。その男性もあえて表紙を下側にして出してきたりして。
印象に残ったコメントをいくつか。
hirofu1969さん「3~40年前の地方暮らしでは取り置き・取り寄せがないと欲しい本はまず手に入りませんでした。中高生時分にガロをずっと取り置きしてもらっていましたが、店のおばさんに「ガロの子」と覚えられているのがすごく嫌でした」
三橋暁さん「昭和の時代の話ですが、勤め先の会社に本屋やレコード屋が出入りしてました。昼休みに御用聞きで回ってきて、オーダーすると数日で配達、支払いは一括で給料日に集金に来てくれた。至れり尽くせりですが、それゆえに買い過ぎることもしばしば」
ひろきゅん「中途半端はやめて、苦しいだけだから」@がんばらないさん「e-hon/honyaclub/hontoなど、取り置き、取り寄せのための仕組みが取次と書店の取り組みで充実して来たので、電子で買えないものは極力書店を使うようにしています。雑誌は書店で定期購読してます」
自粛生活10日目。
持病があるので、毎月渋谷の病院に行って血液検査をしてもらっている。検査に時間がかかるため、採血と診断を別の日にやるのだ。本日は採血のみ。受付の人が妙な顔をしているので訳を聞くと、来週の診察ができるかどうかわからなくなったのだという。私の担当医師はもともと別の総合病院にいた人で、私もかかっていた。その人が元いたところから別の総合病院に異動したとき、遠くなってしまうので渋谷のその診療所に通いで週に一回だけ来るという話になったのである。その、今の本務である病院でコロナウイルスの感染者が出てしまい、こちらに来れなくなったというのだ。それはそうだ。思いがけないところで影響が出て、ちょっと動揺した。どんなに気をつけていても社会全体がこのウイルスからは逃れられないようになっている。