4月21日
本に関するアンケート、書店に関する質問の最後、のつもりだったのだが、もう一つ思い出したので、これがラス前である。今回は「旅先で荷物になっても本を買うかどうか」であった。
いつもアンケートにご協力ありがとうございます。書店編ここでひとまずおしまい。旅行中に書店で本を買ったことはありますか。移動中の荷物は重くしたくないものですが、それでも人は本を買ってしまうかどうか。古本屋以外で願いしたいです。コメントは不可の場合を除き引用する場合があります。
— 杉江松恋@秋季例大祭に向けて気持ちを切り替えました。 (@from41tohomania) April 20, 2020
「無条件に買うことにしている」47.2%
「読んでいる本が終わってしまう場合に限り買う」23.3%
「地方出版など買える機会が限定されている場合に限り」20.5%
「旅先で本は買わないことにしている」9%
投票数は498であった。結論としては無条件で買う人が約半数ということになる。何の本なら買うか、というよりも旅先の書店で買うことに意味がある、という趣旨のお答えが多かったように思った。hrsmさん「棚が違うと見える本が違うので、よほどどこでも買える本以外は買ってしまいます。一期一会」、春生カンナさん「完全に無条件ではないですが(自転車を担いでる時は無理)、大概旅先では夕食後一杯機嫌で本屋に入ってその地方の本とか、今までどうしようかな、と思っていた本をつい買ってしまいますね。宿でそれを開いて寝落ちするのはとても幸せです(ああ、旅に出たい…)」とのご意見、いずれもよくわかる。
私も、特にその土地でなくても、という内容のものを旅先で読んで、その記憶が内容と分かちがたく結びついているという本が何冊もある。たとえばエラリー・クイーン『十日間の不思議』は、私にとって佐世保線の情景と重なるものだ。本を夢中になって読んでいるうちに乗り換えるべき駅で降りるの忘れ、半日かけて戻ったことがあるからである。
あ、自分はそういう視点がなかったな、と思ったのはBECHA☆さん「田舎棲み故、都会の大きな書店で著者サイン本など入手できると舞い上がります」というご意見だった。そうなのである。自分が東京住まいだから旅先に行く=限定的に地方出版の本を買うという考え方になるので、逆に東京で買うべき本というのもあるのだった。これは少し考えが足りなかったと反省した。
旅先で読む本が足りなくなるのではないか、という欠乏症に対する不安を口にされていた方も多かった。駅や空港に本屋があるとわかると、がぜん安心するのである。もう十分に読める量の本はあるとわかっているのに、つい買い足してしまうこともある。sunbutaさんの「他の方も書いていらっしゃいましたが、旅先の空港、駅の書店で本を買うことがあります。大体はフライト遅れの時間潰しなどですが、ラインナップが限られている分、真剣に自分の好きそうな本を探します。そこから新しい作家に出会うこともあります」という意見にも深く頷いた。品揃えが限られている分真剣に探す、というのはまさに我が意を得たお言葉であった。
私はこの選択肢の中では「地方出版など買える機会が限定されている場合に限り」に近い。もちろん読んでいる本がなくなって、というかなくなりそうだと慌てて書店に駆け込むことも多いのだが、最初から計画している場合はその地方限定の本を探すつもりで入るのである。一時県歌について調べていた時期があって、その関係の本を探すために地方書店を周っていた。古関裕而などは大好物である。また、街道歩きをしていると旧蹟についての興味も高まるので、それだけで買える本の種類は増える。ずっと関心が続いているのは郷土食に関する本で、坪内洋文『イモと日本人』を読んで以来、その土地だけで食べられるもの、について何か書かれた本が大好きだ。最近のヒットは高崎駅で買った『おきりこみと焼き饅頭』である。この傾向の回答の中で特に羨ましく感じたのがArea298さんで、「山の本買うことが多いのですが、地方の書店には地元の出版社が作った全国的には流通していない(amazon等でも買えない)山の本が結構あります。そういう本を見かけると、思わず買っちゃいます」として「湯田中温泉で5年くらい前に発見した昭和58年の本」の写真を送ってくださった。湯田中温泉にそんな本屋があったとは。そのころに行ってみたかった。
これはたぶん無条件に買ってしまうというご回答なのだと思うが、藤田弓子に似ている。さん「私は、どーしても先が読みたくて、お遍路を回ってる時に、ONE PIECEとデスノートの新刊を買いました。お遍路ブログを書いてたんですが、友達全員のコメントが、バカなの?とアホでしょ?でした」と似た経験がある。そのときは長崎旅行中だったのだが、最中に鳥山明『Dr.スランプ』第1巻が発売になったのである。当時の人気は想像していただくしかないが、あの鳥山明の初めての単行本である。旅先かどうかは無関係で、私は買った。しかも2冊買った。1冊はもちろん自分用なのだが、もう1冊は当時仲の良かったH君へのお土産用に買った。これは長崎土産、と言われて鳥山明を渡されたH君がどう思ったかは、もう40年近く音信普通なので確かめるすべもない。
自粛生活14日目。
どうもここ数日うまく原稿が書けず、ぼんやりすることが多かった。鬱屈が溜まってきているのかもしれないし、雨が降ったせいで外出ができず体調が崩れているのかもしれない。はたまた単純に、睡眠時間が足りないのかもしれない。考えても答えは出ないと思い、単純に眠ることにした。医者から処方してもらった睡眠導入剤を目が覚めたところで使い、二度寝してしまう。おかげでなのか無関係か知らないが、本日一日はぼんやりしなかった。
私はもともとショートスリーパーの部類に入り、5時間も寝ないことが多かったのだが、この生活の中でそれは危険なのかもしれない。しばらくは8時間ぐらいは寝ることにしようと思う。正午から夕方までかかって仕事をするが、興が乗ってしまってなかなか終わらない。そのところに、zoomで飲み会をするから、というお誘いがかかった。実は今、その最中らしいので、これを書き終えたら初参加してみるつもりである。間に合うかな。