4月29日。
昨日はどうしたものかまだ宵の口に眠ってしまった。今日はそんなわけで二日分更新する。毎日とっている本に関するアンケート、4月28日のお題は「食べながら本を読みますか」だった。これが意外な結果になってびっくり。
毎日のアンケート恐れ入ります。本日は「ながら読書」についてお聞きしたく。みなさんは本を読みながら、しますか。コメントもいただけると幸いです。頂戴したコメントは不可の方を除き引用する場合があります。よろしくお願いします。
— 杉江松恋@秋季例大祭に向けて気持ちを切り替えました。 (@from41tohomania) April 28, 2020
「本を読みながら食事をすることがある」39.9%
「普段の食事ではしないが、お酒を飲むときなどは」9.5%
「紙の本ではしないが、電子書籍ならば」7.8%
「本を読みながら食事はしない」42.8%
最終投票数はこれまででいちばん多くて933票であった。
何がびっくりしたって、本を読みながら食事はしない派の人が全体の4割強だったことである。いや、びっくりすることでもないか。それが真っ当な常識だからだ。本を読みながらものを食べてはいけません。しかし申し訳ないのだが私は厳しくそう躾けられたにもかかわらず、一人で食事をするときは必ず何かを読んでしまう。一度それでラーメン屋の親父に怒鳴られて店を追い出されたこともある。あのときはすまなかった。今は亡きがんこラーメンの三田店だ。お行儀悪いのは確かなので、これは私が悪いのである。
回答を見ると、やはり純粋にマナーの問題として不可という方が多かった。上海紅茶缶さん「主に「料理作ってくれた人に対して失礼」という理由で抵抗ありますね。お菓子とかなら平気です」中野善夫さん「さっさと食事済ませて本を読んだ方がいいし、本が汚れそうだし、読書時間の大半が電車内だし、食事の姿勢が悪くなるし、あり得ない、そんな人と一緒に食事に行きたくない(そういう話じゃない)」。
いやまあまったくそのとおり。申し訳ないです。しかし言い訳ではないが、他の人と会食するときはさすがにものは食べないのである。それはさすがに失礼であろう。つまらないパーティに行くと本を読みたくなってしまうが、そういうときはさっさと帰る。
マナーというよりも本が汚れるから不可という方も多かった。これまたおっしゃるとおり。つなさん「お醤油やコーヒーの跳ねやポテチの油染みなどがあってはいけないので読書中は何も口にしません」アリアンロッドさん「本を汚したくないからです。なので、飲み物も控えます。私にとって本はとても大事な宝物なので、汚したくはないのです。(保存用に2冊買っているものもありますが、それを読むときも同じです)」。そうである。今はちくま文庫に入っている『痕跡本の世界』というおもしろい本があるが、痕跡の残った本というのは人によっては耐え難いものであるに違いない。私は自分の本がどう読まれようと別に気にならないのだが(著者の前で破り捨てるような失礼な真似さえされなければ)、著書が汚されることに怒りを覚える方もいらっしゃるだろう。
回答に「お酒のときは可」「電子書籍なら可」という項目を入れたのは、上記のような不可の方でも、時と場合によっては本を読まれるのではないか、という考えがあったからだ。お酒を飲むのは食事というよりも遊びだからとか、電子書籍は汚れても拭けばいいから、とか。
ただ、技術的な問題というものもあるようである。その一つが、本を読んでいるとご飯を食べる手が足りない、という事実。とみさわ昭仁さん「家で(娘の前で)はやりませんが、一人での外食時には読むことが多いです。そのために片手で食べられるもの(麺類、カレー)を選ぶことも多いです」というお答はまことにその通りで、間違っても蟹をむしりながら本は読めないわけである。グレープフルーツの皮を剥きながらも無理だ。どうしても本のページをめくりながら箸やスプーンを使うことになるわけで、技巧というほどではないが慣れは必要である。
アリアドニさん「外でも家でもごはん食べるときは本も一緒。お酒のときもおやつのときも本も一緒。紙の本でも電子書籍でも区別なし。スマホで本をおさえて読むのです。※ただしひとりのときに限る」というお答えには私も賛同。私はお皿や茶碗で本の右ページを押さえながら読むことが多い。だからご飯茶碗は左派である。右利きの場合はそのほうがいい。左利きなら逆だ。今使っている電子書籍はkindle fireなのだが、iPadを使っていた時期もあった。iPadのスタンドを使うと端末が垂直に立って置きやすい。おお、これは酒飲み時に最適、と思ったものである。
ながら派の中にはどんなものを読むかを教えてくださった方もいた。
黒太さん「例えば晩飯がカレーライスなら、おとも本は、夏目漱石「明暗」、織田作之助「夫婦善哉」、坂口三千代「クラクラ日記」、大原まり子「高橋家、翔ぶ」、アシモフ「死角/黒後家蜘蛛の会」などカレーが登場する小説や随筆。目前の現実の食と、脳内の幻想の食のイメージをシンクロさせると美味いです(‘▽’)」
笛地静恵 Fueti Sizueさん「本と酒は日課です。杜甫の詩と紹興酒。『ブラウン神父』とウィスキー。『悪の華』とワイン。『鬼平犯科帳』と日本酒。『カラマーゾフの兄弟』とウォッカ等々」
アヴォカドさん「1人で食事をする時は、ほぼ必ず何かを読みながら食べます。「本を読みながら食事をすると、1人で食べたことにならない」となんの小説かで読んでから、ますますそうなりました」
これをもってお行儀悪いことを正当化はしないのだが、本を読みながらご飯を食べること、特に一人酒のお供にするのは楽しいのである。なんべんも書いている池袋三福でまた本を読みながらホッピー白を飲みたいものだ。ひさしぶりに夏目漱石『吾輩は猫である』か、マサ斎藤『プロレス「監獄固め」血風録』あたりを持って。
自粛生活22日目。
前日に死ぬほどがんばって原稿を入れたので、この日は使い物にならず。同じく就職活動の疲れでふらふらしている子供と妻と午後九時までには全員が布団に入ってしまった。仕事の進行としては駄目駄目だが、こういう一日があってもいい。毎日がんばったらそのうちどこかを悪くしてしまいそうだ。妻がチーズケーキを作ったら大量のホエーが出来たのだが、それで水キムチが漬けられるらしく、試したら美味かった。盛岡冷麺に載せて食べる。