5月3日
危ない日本酒の頭痛もなんとか収まったので、商業原稿を一つ書き、なんとか本に関するアンケート昨日分。昨日お聞きしたのは、図書館で目的の本が貸し出し中だった場合、待ちの人数がどれだけなら予約をするか、だった。投票数は421 。
連日のアンケート失礼します。本日も図書館編。ネット予約限定かもしれませんが、借りたい本が貸し出し中になっていたとき、順番待ちをしますか。コメントもいただけると幸いです。不可の場合を除き、引用する場合がありますのでご了承ください。よろしくお願いします。
— 杉江松恋@秋季例大祭に向けて気持ちを切り替えました。 (@from41tohomania) May 2, 2020
「何人自分の前にいてもとりあえず予約は入れる」31.8%
「10人以内なら予約を入れたことがある」10.2%
「1~2人程度なら予約を入れたことがある」23.3%
「順番待ちの予約をしたことはない」34.7%
予約をしたことがないという回答がこれだけあるのだが、この中には図書館の利用自体をされない方も含まれているのだと思う。先に自分のことを書いてしまうと、私はこの中だったら何人自分の前にいてもとりあえず予約を入れる派だ。理由は飯島世梨@寒中お見舞い申し上げますさん「何人いても、に入れました。滅多にバッティングしませんが、自分が図書館本に頼る時は、目当ての本=購入不可(金で解決できない)パターンなので、待つしかないのです。急ぐ時は国会図書館で閲覧+コピーでしのいだりしています」とほぼ同じ。
昨日も書いたが、私は1年以内の新刊は原則として借りない方針なので、図書館で借りる場合は数年は経っている本である。ほぼバッティングの心配はないように見えるが、それでも作家のファンなどによって借りられている場合はあるわけである。しかし、その本が必要なのである程度待つことは覚悟して予約を入れてしまう。
図書館の本が必要になるのは、だいたいが文庫解説を書くような場合だ。解説を書くとき私は、まず作家の書誌一覧を作る癖がある。そのときに本の現物を見ないと安心できないが多いのである。たとえば短篇集の収録作初出を確認したり、単行本奥付の年月日を見たりということである。たとえば著書が20冊あるような作家だったら、その20冊を全部予約してしまい、借りられた順にこうした確認をやってしまう。仕事の依頼を受けるとすぐにこの作業に入るので、予約の順番がある程度後でも間に合うのである。どうしても本が見つからないときは、他の自治体の図書館に借りに行くし、そんな時間がない場合は読んだ本でネットの古書店で買ってしまう。当然本は溜まっていくが、それは仕方ない。図書館はありがたいなあ。
おもしろいと思ったのは、みさんのご回答だった。
「何がずれているのか、ほとんど待ったことがありません。自分の前に予約があるとすごく嬉しくて、お目が高いとかひとりごとを言ってしまいます。もしたくさんの予約がついていたら、どんな人が読んでいるのかしらと思いながら、いつまでも待ちます」
このお気持ち、よくわかる気がする。ずっと前の本なのに、ぽつんと予約が入っていることってあるのだ。どんな人が読んでいるんだろう、作家のファンなのかな、と思うではないか。
多かったのは高橋弥生さん「順番待ちをしてまで読みたい本だと待てないので購入します。また、ちょうど順番が回ってきた時に図書館に行けない可能性もあるので、図書館にある本を借りるようにしています」に代表されるように、どうしても待てない本は買う、そうでもないものを借りる、というお答えだった。まゆさん「どうしても今すぐ読まねば!という本は買います。そうでなければ、待ちます。予約すると、読みたい気分でない時でも手許に来てしまうのがつらくて。借りることができるタイミングも、その本とのご縁…と思ってます」のご回答も非常によくわかる。そう読みたい気分のときに読みたい本というのはある。図書館は公共施設だから、そういう読者が自分の欲求を満たしたかったら、やはり自腹しかないですね。あと、陶治さん「待っていれば順番が確実に回ってくるので、「とりあえず予約」します。リマインドメールも来ますので、うっかり防止に一役買ってくれるのも嬉しい」、私も常時到着を待っている本があって、連絡がくると自分がその本を読みたかった日があるのだと思い出します。
予約のシステムに意見もいただいている。unyueさん「図書館を使わないので予約したことがないです。以前からベストセラー本などの予約に付随する色々(図書館側の予算配分とか借りる側の意識とか)に対して苦々しく思う場面もあるのですが、皆さまどのようにお考えなのか知りたいです。 #honyakmonsky」。これも日本推理作家協会などの業界団体でたびたび問題になることで、ベストセラーの大量購入については刷り部数に大きな影響を与えているのではないかという声も多い。図書館サービスについて考えるときには避けては通れない問題だ。図書館に購入依頼を出すかどうかという話については、そのうちにアンケートを実施する予定である。
図書館の中には予約が集中している資料名を公開していることがある。それはまあいいのだが、某所で予約者が多い本の寄付を呼び掛けているのを見たことがある。つまりすでに読んでしまった本を回してくれるように頼んでいるわけだ。さすがにそれはやりすぎで、利用者の要求に応えるにもほどがあるのではないかと思った。一部の例だとは思うのだけど。
アンケート主旨からは外れるのだが、おもしろかったのでご紹介しておく。
三月うさぎ(兄)さん「図書館、よく利用しますよー。昔の本や高い本や大きい本なんかとくに。予約待ちは滅多にしませんが、『ノストローモ』は『コスタグアナ秘史』を読むために借りようとしたら何のタイミングか貸出中予約待ち1人でしたので待ちました。『ノストローモ』、大傑作なのでどこか出してくれないでしょうか」
というわけで出版社はわかりましたか。
自粛生活26日目。
上にも書いたとおり謎の二日酔いに悩まされたが、原稿を書いて本を読んでいるうちに脳が活性化したのか、比較的仕事がすいすい進んで気分がよかった。昨日から過去の街歩き記事を順番にツイッターで紹介している。これを読むと2018年から2019年にかけては本当に古本屋ばかり行っていたのだなということがわかる。記事にしたのは全体の何分の一にすぎないし。この厄災が過ぎたら、とりあえず萬葉堂書店に行こう。そしてもう一軒、未訪の大古書店を訪ねよう。それを楽しみにして日々を生き抜くのである。