5月20日
本に関するアンケート、雑誌の2つ目は「なぜ買わなくなったのか」だった。回答数は364であった。
毎日アンケートご協力ありがとうございます。前日の結果にちょっとびっくり中。もう一回雑誌のことを聞かせてください。かつて購入していた雑誌を買わなくなった理由は何ですか。差しさわりない範囲でコメントもいただけると幸いです。不可の場合を除き引用することがあります。よろしくお願いします。
— 杉江松恋@秋季例大祭に向けて気持ちを切り替えました。 (@from41tohomania) May 19, 2020
「定価が上がり、内容と値段が釣り合わなくなった」5.8%
「特集など編集方針が自分と合わなくなった」26.1%
「小説やエッセイなど、関心ある執筆者がいなくなった」18.1%
「特別な理由はなく、雑誌を買う習慣自体がなくなった」50%
このとおり、約半数が「なんとなく」買うのを止めたのであった。テレビ番組の視聴にもそんな面があると思うが、習慣で続けていることは止める理由がないからそうしているというだけで、何かきっかけがあれば中断してしまうことがある。そのきっかけと考えられるものを1~3に挙げてみたが、定価や誌面刷新、執筆陣の交替などの明確な理由がなくばったり止めてしまう人が半数いたことになる。継続のための強い動機付けがないわけだから、非常によくない。ここは逆に「なぜ雑誌を買い続けているのか」と聞いてみるべきかのかもしれないが、前回の結果で見たとおり7割の人が雑誌を買う習慣がないわけだから、あまり取れ高はなさそうだ。
理由として、時間や置き場所の「余裕」がなくなったことを挙げた方が複数いらっしゃった。黒太さん「選択肢には無いので投票はできませんが。まだ自室に本棚がたくさんあった頃、雑誌を「置く・保管・保存・飾る」ためのスペースが徐々になくなっていった=書籍にスペースを明け渡したから、です。てへ!」、mashirokifujiさん「強いて言えば置いておくと嵩張って行くだけの存在になり易いことから。読みたいのは一部のエッセイだけとかカタログと化した紙面をめくるのが辛いとか、積読状態になって始末出来ず。数十年物が未だ本棚の重石と化してる。なのでいっそ買わない選択です。たまに例外ありますが」、村山梓こたぬきさん「ここには無い理由ですが、時間的、気持ち的、体力的に雑誌をよむ事ができなくなった。です。先ず、近隣に書店が無くネットで購入するか街の書店に出かけるかがしんどいです」などなど。
よしだまさしさん「ある日気がつくと、まったく開いてもいない雑誌が部屋に山積みになっていて、いつの間にか惰性で買っているだけになっていたから」のお答えにあったが、「いつの間にか惰性で」買わせる戦略でずっと存命している雑誌はたくさんある。変わり映えしない誌面だと文句を言われつつも何もしないのは、ある日はっと気づかれて買う手を止められるのが怖いからでもある。それを怖れずに冒険して成功する雑誌もあれば、失敗するものもある。成否の程は私にはわからないが、それまでと180度違う方向に舵を切って既存の読者から反発を受けた「ku:nel」は記憶に新しい。
場所とかお金の「余裕」がないならこういう手はどうですか、ということで始まったのがサブスクリプション・サービス、一定料金の読み放題で、そちらに移行したというご回答もあった。習慣を継続させることは可能だと思うのだが、雑誌売り上げとしては確実に減少するわけで、正直私には戦略としての巧拙は判断がつかない。
前から思っていたのは、電子媒体での雑誌はバラ売りに向いているのではないかということだ。特集記事だけとか、特定著者のコラムだけとか、課金単位を小さくしてくれたら、違う収益の仕方が見えてくるのではなかろうか。思いつく範囲では「週刊SPA!」が特集記事のバラ売りをやっているのだが、本当はあれじゃなくて「バカはサイレンで泣く」だけとか読みたいんだよね。当時電子でバラ売りされていたら絶対に買っていただろうな、というのが「パチンコ必勝ガイド」に連載されていた田山幸憲「パチプロ日記」と、同誌別冊「ルーキーズ」の「五つ星ホールを探せ!」である。前者は本にまとまっているけど絶版だし、後者はほぼ単行本化されていない。金角と名乗っていたころのゲッツ板谷さんのむちゃくちゃおもしろい旅ルポなんだけど、今からでも本にしてもらえないだろうか。私はほとんどパチンコをやらないのに、当時はこの連載のためだけに買っていたのだった。
この連載のためだけに雑誌を買っていた、という話を本当はもっとする予定だったのだけど、ちょっと時間がないのでまた別の機会に。
自粛生活43日目。
先立っての39県に続き、京阪神で緊急事態宣言が解除されるとのこと。いいことです。これで完全に終わりではなくて、第二波、第三波にも備えなければならないのだろうけど、破壊されてしまった日常が少しでも早く修復できればありがたいことだ。このアンケートはコロナ禍の退屈しのぎとして始めたものなので、自粛生活を強いられている地域があるあいだは続けていくが、それがなくなったらおしまいにして、いつものペースに戻すつもりである。要するに古本屋に行くとか行かないとかそういうことばかり考えている記事ということですね。古本屋に行けない鬱憤をここにぶつけているのかと聞かれれば、そうだと答えるしかない気もする。