某月某日
本日は木馬亭九月公演の二日目なのだが、昼間に某社とのzoom会議が入っていて浅草に行けない。冗談で、「木馬亭でイヤフォンをつけて画面を見てればいいんじゃないの」という言われたのだが、会議だからこっちだって発言するし。というか、演芸場でzoom画面をつけっぱなしにしていたら迷惑です。
会議が午後一杯かかったので午後六時ごろ新宿へ。サブナードでこの日から古本まつり「古本浪漫洲」が始まっている。参加店舗を見ると、なんと昨日権之助坂で入った弘南堂書店が。お懐かしゅうござんす。山本嘉次郎本に強く惹かれるも値段が折り合わず。山本著書はどれも古書価が高止まりしているのである。復刊すればいいのに。
そこから西口に回って、九月末でなくなってしまうメトロ食堂街を訪ねる。これが最後になるかもしれない永坂更科布屋太兵衛の肉天そばと別れを惜しむ。
地上へ出て小滝橋通りへ。本日は木馬亭に行けない代わりに、玉川太福・沢村美舟の「沢村美舟を聴く会」だ。「舞台にいて、いつもみなさんの熱い視線を感じるので、今日は美舟さんを存分に見ていただこうと思いまして」と太福さん。自身は下手に寄り、中央に曲師を出弾きで座らせるという異色の配置だ。「だけどみなさん(観客)には申し訳ないですが、上演中、美舟さんの視線はずっと私に注がれているんですね。みなさんよりも私のほうが好きですから」と笑わせる。曲師は浪曲師と息を合わせるために挙動を注視しなければいけないわけなのだけど。
この日は美舟たっぷりということで、
清水次郎長伝 石松代参
トークコーナー
仲入り
天保六花撰 河内山と直次郎
という演目。「石松代参」は玉川バージョンなので三十石船内のやりとりが短く、江戸っ子がしゃしゃり出てこない。その代わりに「普段はやらない最後の節までやります」とのことであった。節たっぷりなので、曲師の手が多い。「河内山と直次郎」は美舟さんが歌舞伎好きということで。これも存分に聴かせて、濃密な会は終わった。
終演後、近所の加賀屋でちょっとだけ飲んで帰る。