某月某日
昨日は仕事のため来られなかった。浅草木馬亭九月公演三日目。中に入ると、コロナ禍以降では最多人数の入りである。札止めになって後から来て断らざるをえなかったお客さんもいたらしい。何人かの演者も言っていたが、コロナ対策で空席を作らざるをえないのに、これで満員というのが恨めしいというのは本当だと思う。しかしこういう日があるとほっとする。少し息をつける気がする。
天保水滸伝 鹿島の棒祭り 玉川奈みほ・沢村美舟
魚屋本多 東家恭太郎・玉川みね子
将軍の母 国本はる乃・馬越ノリ子
甚五郎旅日記 掛川宿 玉川奈々福・沢村美舟
仲入り
豆腐屋ジョニー 玉川太福・玉川みね子
春日局家光養育 神田紅佳
戦国名将石田三成 三門柳・沢村美舟
貞女菊の井 東家三楽・伊丹秀敏
この日いちばん受けていたのは、奈々福さんの「掛川宿」だった。コミカルな話なので、奈々福さんの一挙手一投足にどかんとくる感じ。甚五郎伝のすべてがそうではないのだが、この「掛川宿」は非常に関西ネタの雰囲気が強い気がする。いちびる感じもそうなのだが、バラシに向けて節が連続する展開もそうではないか。過去の演者に遡って聴き、確認してみたい。
個人的にいちばんの収穫は「石田三成」であった。有名な三服の茶から処刑前に柿を断ったエピソードまで。私が子供のころに読んだ学習漫画で描かれた石田三成は、みんなこういう講談浪曲由来の人物像だったのだなあと改めて思う。
「貞女菊の井」は安定の良さ。なぜかこの読み物を三楽さんがかける日は、似たようなネタが演じられることが多いような気がする。貞女賢女ものが多かった三日目の木馬亭であった。