杉江松恋不善閑居 日本浪曲協会主催興行「浪曲にあこがれて 聴いてください私の一節」

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写真を撮り忘れたので、これは別の日の木馬亭。

某月某日

すでに先月の話になってしまうが、月末に浅草木馬亭で日本浪曲協会主催の「浪曲にあこがれて 聴いてください私の一節」に行ってきた。

東京都の文化事業助成対象となって、編集した動画がyoutubeにアップされるらしい。最近の木馬亭は定員制限もほぼ撤廃しているのだが、この日は客席の半分を封鎖した自粛モード。コロナ対策を万全にしている興行が対象だから、ということらしい。購入したチケットにも番号が振られていて、入場できる時間帯が決められている。私はどっちにしろ遅い時間に入るので、開演ぎりぎりにすべりこんだ。珍しく港家小柳丸さんが前説的に何かを話している。

継母の誠(※) 富士綾那・東家美(※)

仲入り

「顔みせ・声みせ」(司会・港家小柳丸)

阿漕ヶ浦 玉川奈みほ・佐藤貴美江

唄入り観音経 三門綾・東家美

山内一豊の妻 天中軒すみれ・水乃金魚

甚五郎京都の巻 東家志乃ぶ・馬越ノリ子

江戸の初雪 東家千春・馬越ノリ子

馬子唄しぐれ 東家三可子・東家美

大前田の義心 天中軒景友・水乃金魚

魚屋本多 東家喬太郎・佐藤貴美江

仲入り

慈母観音 東家三楽・伊丹秀敏

唄入り観音経 三門柳・東家美(※)

仲入り

天野屋利兵衛 天中軒雲月・伊丹明(※)

大新河岸の母子河童 澤孝子・佐藤貴美江

※印のところとはメモを紛失してしまって記憶が曖昧なのである。申し訳ない。ご覧のとおり頻繁に仲入りをとって換気を行うコロナモード。まず年季明けをした若手である綾那さんが一席務めたあとに「顔みせ・声みせ」のコーナーがあり、最後にベテラン勢という構成。この第二部にあたる「顔みせ・声みせ」コーナーは、一人ずつ小柳丸さんのインタビューに答えた上で一節ずつ唸るという流れで、外題付けをやったり、最後のバラシのところだったり、とそれぞれが違った。バラエティに富んでいてよかったのだが、進行がぐだぐだで、思わず手に汗を握ってしまう場面がいくつか。たとえば曲師を紹介せずに先に進んでしまったり、某演者さんのめくりを返さずに、前の出演者のままで唸らせてしまったり。台本の台詞も、え、それって東京都後援でネット公開しちゃうの、というようなどっきりするような文言が結構入っていて、編集がたいへんそうだなと思った。おまけに小柳丸さんは口内炎ができているとかでしばしばそのことを言うし。ちなみに後日、そのために休演してしまったのであった。若手紹介はぜひやってもらいたいのだが、やり方は一考の余地ありだと思った。たとえばベテラン勢の公演に挟む形で何人ずつか登場するとかね。

そのベテラン勢はさすがの充実。モタレの「天野屋利兵衛」がかなり満足度の高いものだったので(十月定席よりもさらに良かった)、このあとはどうなるかと思って見ていると、舞台には銚子市から贈られたテーブル掛け。やはり河童か、と思ったら河童だった。これはこれで澤孝子さんでしか聴けない貴重な演目なので場内大盛り上がりであった。

平日昼間の公演なので知っている人はあまりおらず。少人数で反省会をして帰る。

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