某月某日
緊急事態宣言下ではあるが、木馬亭の定例公演は例月通り行うとのことなので浅草へ。客席数を半分に、つまり椅子を半分緊縛して開場していた。ひさしぶりにこの景色。
出世定九郎 三門綾・玉川みね子
沼津の秋太郎 東家三可子・東家美
寛永三馬術愛宕山梅花の誉れ 玉川奈々福・沢村まみ
徂徠豆腐 イエス玉川・玉川みね子
仲入り
雷電為右衛門伝小田原情け相撲 東家一太郎・美
秋色桜 神田山吹
湯島の白梅 富士琴美・伊丹秀敏
戦国武将伝石田三成 三門柳・伊丹秀敏
「沼津の秋太郎」は、以前に聴いたときには「あばれ行灯」の外題だったような。原作は長谷川伸かと思っていたが記憶違いで、子母澤寛だった。イエス玉川「徂徠豆腐」は途中までで、残りは六日に一挙。浅草寺豆まきの話題からあちこち寄り道して、まさかこの外題になるとは思わなかった。一太郎さんの「小田原情け相撲」も弾いた美さんは、この日二席を担当した。このところとても調子がいいのだが、特に乗っていたようで掛け声も弾んでいた。二日の出演もご夫婦そろって楽しみである。
「梅花の誉れ」は二月らしい外題。ぼんやりと聴いてしまったのだけど、後半は以前よりも節が多くなっているような。浪曲はこれだからちゃんと時系列で聴いていないと損をする。梅つながりで言えば「湯島の白梅」で、これは泉鏡花『婦系図』が原作である。というよりは、映画を浪曲に直したのかな。一部歌謡浪曲になっていて、カラオケで琴美さんが美声を聴かせる。この外題も以前に聴いたときはカラオケなしだったと記憶している。何度目からの読み物でも必ず何か発見があるな。「石田三成」は、たしか柿の季節に前回は聴いた。悲劇の将の凛とした佇まいを印象付けてこの日は幕。