翻訳ミステリーマストリード補遺(11/100) アガサ・クリスティー『ポアロのクリスマス』

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翻訳ミステリー大賞シンジケートの人気企画「必読!ミステリー塾」が最終コーナーを回ったのを記念して、勧進元である杉江松恋の「ひとこと」をこちらにも再掲する。興味を持っていただけたら、ぜひ「必読!ミステリー塾」の畠山志津佳・加藤篁両氏の読解もお試しあれ。

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『ポアロのクリスマス』は私の偏愛するクリスティー作品です。『完全攻略』以前、クリスティーというと「落ち」の意外性ばかりが取り沙汰されることが多かった印象があるのですが、決してそうではなく、精緻に組み立てられた構成あってこそ必殺技が最後に出せるのだ、と常に思っておりました。『マストリード』の作品選定時にも迷わずこれを選んだ次第です。『完全攻略』という優れたブックガイドが世に出たのであえて付け加えることは少ないのですが、本書の序盤の展開は名作『ホロー荘の殺人』のそれなどと比較して読むと味わい深いかと思います。クリスティーの文章は明快です。その明快な文章の中にほのめかしやダブル・ミーニングなどの技法を使って伏線が埋設される点に意味がある。どの作品も再読に耐える所以でしょう。

『ポアロのクリスマス』を畠山・加藤両氏はこう読んだ。

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