翻訳ミステリーマストリード補遺(14/100) ジョン・フランクリン・バーディン『死を呼ぶペルシュロン』

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翻訳ミステリー大賞シンジケートの人気企画「必読!ミステリー塾」が最終コーナーを回ったのを記念して、勧進元である杉江松恋の「ひとこと」をこちらにも再掲する。興味を持っていただけたら、ぜひ「必読!ミステリー塾」の畠山志津佳・加藤篁両氏の読解もお試しあれ。

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『海外ミステリーマストリード100』の中には、他のブックガイドだったら100人のうちには入れないだろうな、という作家が何人か入っています。ジョン・フランクリン・バーディンはそのうちの1人ですが、最初に邦訳された『悪魔に喰われろ青尾蝿』を読んだときから、どこかで紹介したいという気持ちを強く持っていました。『死を呼ぶペルシュロン』が本の刊行当時現役だったのは、幸いなことでありました。しかも邦訳された中ではこれがいちばんミステリーとしては読みやすいし。

バーディンの1940年代の長篇群は、後のサイコ・サスペンスの土台になるような示唆的なものでした。ここから遺伝子を受け継いだ作品をいくつも挙げられます。また、なんといってもバーディンは気色悪い。『悪魔に喰われろ青尾蝿』を読んだとき連想したのは、徳南晴一郎『怪談・人間時計』でしたからね。あのパースの狂った感じがそのままバーディンにも当てはまるような気がして、私の中では同じ箱に入った作家たちということになっています。サイコ・サスペンスの歴史は、このような異才によって始められていたのでした。これを読んでしまうと「ただたくさん殺すだけ」のサイコ・キラーが出てくる話なんて、可愛いものだと思えてきます。

『死を呼ぶペルシュロン』を畠山・加藤両氏はこう読んだ。

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