某月某日
今抱えている仕事。インタビューの構成×4(イレギュラー3、文庫解説1)、レギュラー原稿×4、イレギュラー原稿×2(文庫解説、調整待ち)、ProjectTY書き下ろし。下読み×2。
やらなければならないこと。連載原稿の準備×1。取材の準備×1。企画書×1。会議の調整×1。
今抱えている仕事が増えているのは忘れていたからで、インタビューの構成は4本なのだった。そろそろ手をつけないと土壇場で恐ろしいことになりそうだ。仕事のところに〆切がだいぶ先だが下読みを追加した。このうち一本は日本推理作家協会賞の予選である。1月31日で二次予選の候補作が出揃ったので、未読作をおいおい処理していく。
昨日から浅草木馬亭で日本浪曲協会の定席公演が始まった。仕事が切羽詰まっているのと、腰痛が落ち着かないのとで外出は控えた。今月はなんとか半分は行きたいのだが。特に6日は企画公演で木村勝千代さんが初めてトリを取ることになっている。日本浪曲協会が昨年で80周年を迎えた記念で、歴代の会長を称え、演者や本人の出演、ゆかりの演目で番組を作ることになったのである。第1回が2月で、初代会長の木村友衛を記念し、唯一の木村派である木村勝千代さんがトリをとる。ぜひご来場を。
そういえば先週の金・土曜日は東京古書会館で我楽多市であった。金曜日は行けなかったので土曜日に足を運んだ。だいたいこういうものは初日に開場して1時間ぐらいでめぼしいものはなくなってしまうのでさほど期待せずに行ったのである。だが入場してすぐ左のところに埼玉の佐藤藝古堂が出ているではないか。この店名を見た時点でかなりの出費を覚悟、芸能系が異常に強い古書店なのだ。案の定紙物が積まれた箱の中に浪曲関係のポスターを複数発見。はいはい、私が悪うございました。
下はそのとき購入した中の一点。女性浪曲師を集めた興行の宣伝だが、いろいろ不思議である。まず主催が日本浪曲芸能協会になっている。日本浪曲協会ではないのである。出演者は天津羽衣嬢、鈴木照子嬢、春野百合子嬢、伊丹秀子嬢とある。~嬢とつくのは女性浪曲師命名様式の一つではあるが、手元にある系図にはこういう名前の芸人が見当たらないのである。あるいは羽衣や照子の名前にMs.の意味で嬢をつけたものか。
天津羽衣と鈴木照子は戦前に天才浪曲師として一世を風靡したが、後者は戦後になって体調を崩してめぼしい活動はしていないはず。十代の写真しか私は見たことがないのだが、ポスターのそれはずいぶん大人びている。天津羽衣は少女時代の写真と言えば面影がないでもない気がするが、別人と言われたほうが納得する。春野百合子の活動開始はやはり大正期、この写真が本人かと言われると自信がない。伊丹秀子は二代目天中軒雲月が永田貞雄と1947年に離婚後に名乗り始めた。1956年にいったん引退するので、本人だとすればポスターはその間のものである。しかしそのころ、鈴木照子はリタイアしているはずだしなあ。手元に伊丹秀子嬢の公演を告げる優待券がある。写真は不鮮明なのだが、ポスターとは同一人物に見える。そうするとやはり大家の本人ではなくて~嬢とつく別人なのか。謎は深まるばかりでございます。悩んでいても仕方ないので仕事しなくちゃ。