某月某日
今抱えている仕事。インタビューの構成×3(イレギュラー2、文庫解説1)、レギュラー原稿×4、イレギュラー原稿×3(文庫解説、調整待ち、書評)、ProjectTY書き下ろし。下読み×2。
やらなければならないこと。連載原稿の準備×1。取材の準備×1
お金になる仕事は終わらなかったのだが、渡さなければならない企画書をでっちあげ、会議のスケジュール調整をしたのでなんとなくよくやったな自分、という気持ちになっている。これは偽りの満足感である。会社員時代、ぜんぜん売り上げにはならないけど書類は出来る、という一日を送ったときにこれと同じような感覚になったことを思い出す。内田春菊がホームページ上に書いていた文章の最終回で「これを書いていると仕事をやった気になってしまうので危ない、もう辞める」と締めくくっていたことを思い出した。あれは本にまとめられていたはずだが、題名が思い出せない。
そろそろ確定申告の時期で、会計士から連絡が来たので準備を始めている。それとは別に、法人格を持たなければならないのではないかという問題が発生していて情報を集め出した。実に面倒である。お金がふんだんにあれば専門家に投げてしまえるのだが、そこまで恵まれた状況ではないので、ある程度は自分でやらなければならない。法人格を持つことについては、だいぶ前に先輩の池井戸潤にも言われていて、その一年後くらいに会ったら、まだやってないのか、と呆れた顔をされた。そりゃ池井戸先輩ぐらい稼いでいたら必要でしょうけど。それ以外にも同業の某氏から、プロダクションを作ってライターを抱える形にしたらどうなのか、と打診されたことがある。これは周囲にヒアリングをしたところ、あなたがプロダクションを作っても出版社のメリットにはならないので基本的には無視します、という意味のことをやんわり言われたので、速攻で止めたのである。結構前の話だ。
編集プロダクションを経営しているまっとうな方には幾人もお会いしたことがあるが、そうではない例も見聞してきた。なので、どうも自分がそれを作って社長に収まるという考えには乗り切れないものがある。柄じゃないというか、そんなことをしても誰も得をしないだろうとも思う。
ただ、今は動画配信のように、それだけでは仕事にならないような思い付きをまとめあげて収益のとれる体制にするようなことが求められている時代でもある。編集プロダクション計画を放棄したころとは事情が異なる。法人格が一個あるだけで可能になることがあるのなら、ちょっと検討してみてもいいのかな、と心が動いているのであった。こういうことを言いながら無精をしてやらない、というのがいつものありさまではあるが。