杉江松恋不善閑居 松本「本と花・枯淡苑」

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

某月某日

今抱えている仕事。レギュラー原稿×4。イレギュラー原稿×3(エッセイ、書評、解説)。

ProjectMTの準備。

やらなければならないこと。主催する会の準備×1。

松本駅前会館で東方信州祭が終了したのが午後三時半。松本市内の古本屋は多くが午後六時には閉まってしまう。ぼやぼやしていられないので、まずは駅前で荷物を預け、タクシーに乗った。松本には1876年に創設された旧開智学校がある。学校建築としては唯一の国宝指定を受けているが、現在は耐震工事のため休館中である。その旧開智学校に行く手前、やはり国宝の松本城の北側で本と花・枯淡苑が営業中であった。昭和初期に建てられた古民家で営業している店で、新刊を扱えばドライフラワーも売るというのがおもしろい。

軒先に下がった清潔感のあるのれんをくぐると足元には均一本の箱がいくつか。入れば中央に机があり、その周囲を本棚が取り囲む構造になっていた。左右の書棚には本が並んでいるのだが、ぱっと見ても新刊か古本かがわからない。よく見れば本に挟まったスリップに古本の場合は値段が記してあるのだった。中央の机を越えた向こうに背の高い本棚があり、手前側は文学書、向う側にはコンピューターなどを中心とした理工学書・実用書が並べてある。後で店のホームページを見てみたところ、本はインターネットとの関わり方を考えるものを中心に置いてあるのだと書いてあった。山岳書や趣味の本など、一見無関係な本も多いが、たまにはネットを離れて心の休まることをしてはどうでしょうか、という提案なのかもしれない。SNSに疲れたときに訪問するといい本屋だと思った。

聖悠紀の古い短篇集を買うかどうか悩んだのだが、旅先でもあり、この先どんな本と出会うかわからないので、今回は失礼して外に出る。さて、次だ。

5月26日、稲田和浩さんとトークイベントをやります。

6月10日、玉川奈々福さんとトークイベントをやります。

小説誌に掲載される短篇についてのレビュー番組「短いのが好き」を隔月で千街晶之さんと始めました。こちらが後編です。前編と併せてご覧ください。

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存