杉江松恋不善閑居 木馬亭六月公演初日

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某月某日

今抱えている仕事。レギュラー原稿×6。イレギュラー原稿×3(エッセイ、解説×2)。

ProjectMTの準備。

やらなければならないこと。主催する会の準備×1。

6月3日午後7時~ 配信にて翻訳ミステリー大賞二次投票の開票を行います。告知からあまり時間がなくて申し訳ありません。URLはこちら

午前中と夜にそれぞれ取材が入っていた。するのではなくてされるほう。なぜかここのところ取材が集中している。これが著書に関することなら嬉しいのだが、全然違う。著書で取材されるようにがんばる。昼は木馬亭に行かなければならないので、あまり原稿書きは進まなかった。仕方ない。

澤孝子も東家浦太郎もいない木馬亭の初日。お名前を入れた提灯はまだ飾られていた。

深川裸祭りの由来 港家柳一・沢村豊子

宮本武蔵廓の竪琴 天中軒景友・沢村美舟

長兵衛生い立ち 東家孝太郎・玉川みね子

隅田川乗っ切り 花渡家ちとせ・沢村豊子

男はつらいよ恋する寅さん 玉川太福・玉川鈴

柳沢吉保お歌合わせ 神田山吹

妻妙と数右衛門 大利根勝子・玉川みね子

小仏峠の雪 三門柳・沢村美舟

「深川裸祭りの由来」の柳一さんは師匠の節をよくなぞっていて伸びしろがありそうな印象。これから自分流を加えていくことでどんどん成長していくだろう。楽しみ。「廓の竪琴」は、以前独演会でネタおろしした一席で、三十三間堂の決闘の裏話になっている。静かな話なので木馬亭ではどうかと思ったが、意外に合う。景友さんは擬古典の新作に取り組んでおられるので、どんどん木馬亭でもかけてもらいたい。「長兵衛生い立ち」は幡随院長兵衛ものの発端。師・浦太郎没後の最初の木馬亭ということで、初心に帰るつもりで、と表明して始められた。「隅田川乗っ切り」は徳川家光と大久保彦左衛門の登場する一篇。寛永三馬術もそうだが、ちとせさんは金襖(武家)ものがよく似合う。

仲入りを挟んで「恋する寅さん」は大西信行が映画第一作を脚色した内容で、その没後に太福さんが孝子さんから許可を貰って上演を始めたもの。後半だけだったが、頭の部分を演じられたのは久しぶりだったと思う。笑いが多くて結構。「お歌合わせ」は柳沢吉保出世録の一篇。山吹さんは楽屋での浦太郎・孝子両師に関するエピソードを披露。「妻妙と数右衛門」は義士伝の一篇だが、相変わらずその声量に驚かされた。亡くなられた孝子さんとは年齢も近かったので衝撃も大きかったのではないかと思うが、勝子さんにはお元気でいてもらいたい。「小仏峠の雪」に入る前に三門博「唄入り観音経」の一節が流れた。これは「小仏峠の雪」が三門自身の半生をモデルにした実録ものなので、そのための演出である。師についての思い出を語られてから熱演された。2日は澤孝子代演をモタレの天光軒満月さんが務める。これも聴きに行かなくては。

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