某月某日
今抱えている仕事。レギュラー原稿×4。イレギュラー原稿×2(エッセイ、解説×1)。
ProjectMTの準備。
やらなければならないこと。主催する会の準備×1。
原稿は書けなかったが仕事読書はかなり進んだ。夕方になって小学館にちょっと出かけ、いろいろ企みの相談。ちょっと下赤塚・司書房に立ち寄り、その後で池袋コミュニティカレッジの講師であった。小学館と司書房と池袋コミュニティカレッジの位置関係を調べて、ちょっと立ち寄るという表現は変だとか、言わないように。
第167回芥川・直木賞の候補作が発表になった。以下の通り。
芥川賞
小砂川チト「家庭用安心坑夫」(『群像』6月号)
鈴木涼美「ギフテッド」(『文學界』6月号)
高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」(『群像』1月号)
年森瑛「N/A」(『文學界』5月号)
山下紘加「あくてえ」(『文藝』夏季号)
直木賞
河崎秋子『絞め殺しの樹』(小学館)
窪美澄『夜に星を放つ』(文藝春秋)
呉勝浩『爆弾』(講談社)
永井紗耶子『女人入眼』(中央公論新社)
深緑野分『スタッフロール』(文藝春秋)
芥川賞はまったく未読なのでなんとも言えないが、直木賞は三作が既読。私の「心の直木賞候補」は以下の通りだった。
河崎秋子『絞め殺しの樹』(小学館)
呉勝浩『爆弾』(講談社)
佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』(KADOKAWA)
柚月麻子『ついでにジェントルメン』(文藝春秋)
6冊あるが、これ以上は絞り切れなかった。このうち3冊が候補になったが、佐藤・清水・柚月が入らなかったのは誠に残念である。6冊のうち飛びぬけて評価が高いのは『喜べ、幸いなる魂よ』で、これを候補に挙げられない文藝春秋の編集者は強く自己批判すべきだ。あなたたちは何を基準にして直木賞候補作を選んでいるのか。『花盛りの椅子』は優れた震災文学で、10年後になってこうした作品が書かれたことを評価したい。『ついでにジェントルメン』はコミカルな諷刺小説で、この喜劇性は素晴らしいと思う。掲載誌ですべて読んでいて、単行本になるのを楽しみにしていたのに見落として書評をやれず仕舞になってしまった。ぜひ文庫解説を書かせてもらいたいが、内容的には女性に依頼がいくかな。
呉勝浩と深緑野分作品は、すでに直木賞候補になったことがある作家の過去最高作であるだけに順当だろう。『絞め殺しの樹』は感動ポルノが持て囃される時代に冷や水をぶっかける内容で力作、昭和史の小説として読み応えがある。素晴らしい作品だと思う。