某月某日
今抱えている仕事。レギュラー原稿×6。イレギュラー原稿×2(解説、インタビュー構成)。
やらなければならないこと。主催する会の準備×1。
重要な原稿の〆切が控えているので、その資料集めと読書で一日が終わった。台風が通っていたこともあり、そういう日があってもいいだろう。
日が経ってしまったが、8月11日に開催した「木村派の連続読みが聴きたい! 天保六花撰特集その1」のことを。この会では以前に現在〈唯一の木村派〉である木村勝千代さんにお願いして、お家芸の「慶長太平記」を読んでいただいた。今回は、一席を「天保六花撰」で、もう一席は勝千代さんの他の持ちネタを、という構成でお願いしている。三味線は至宝沢村豊子の三番弟子、沢村まみさんである。
この日の演目は以下の通り。
子は鎹 勝千代・まみ
仲入り
天保六花撰 上州屋お店先 勝千代・まみ
「子は鎹」はご存じのとおり落語「子別れ」の下を浪曲化したものだ。勝千代さんはわずか10歳で木村松太郎に弟子入りし、自宅のある山梨県から埼玉県の師匠宅まで、親の運転する車で毎週通って稽古をつけてもらった。最初に教わったのがこの「子は鎹」であったという。亀ちゃんという子供の出る話だからだろうか。改心した夫とそれを待ちわびていた妻、という大人の心情の機微を当時の勝千代さんがどう思っていたのか、興味のあるところだ。
「上州屋お店先」は出雲藩主松平出羽守に見初められて側室にされそうになっている町娘を河内山宗俊が計略で救い出す一席の、発端である。まだお聴きになっていない方には、とにかく勝千代さんの声が凄いとだけお伝えしておく。初めて木馬亭で聴いたときは唖然として、なんというものを聴いてしまったのか、と呟いたものである。
次回は9月11日14時から。ご予約お待ちしております。