今抱えている仕事。レギュラー原稿×3。イレギュラー原稿×2(解説×2)。
やらなければならないこと。下読み×1。の・ようなものの準備×1。
前日に続き、書き仕事が捗らなかった。午前中は4日に迫った推協フェス関連の準備で終わる。午後は某新人賞の二次選考会をリモートで。4時間かかる。そこから外出して夜は池袋コミュニティカレッジの講師。帰宅してクイズ脳ベルSHOWを観て就寝。ああ、何もなし。
先日の静岡行のことをちょっと書いておかなくては。他にも書くべきことが溜まっているのだが、小出しにしていく。静岡に行ったのは先にも書いたとおり柳家かゑる怪談噺の会に顔を出すためだったのだが、せっかくなのでちょっと早めに動いた。
静岡駅まで新幹線で行き、引き返す。東海道本線で草薙まで行って下車し、駅前に出ると台風接近の予報通り雨が降り出していた。傘を買わなくては、とファミリーマートのある方向を見て衝撃を受けた。居酒屋ワンコップがない。
何度も見返したが間違いない。跡地は餃子屋になっていた。後で検索したところ2021年6月18日をもって閉店していた。人のいい老夫婦がやっていたお店で、一見で入ったときもとても暖かく迎えてくれた。コロナが明けたら絶対にまた来ようと思っていたのに。残念である。ファミリーマートで傘を買う。ぱらぱらと雨滴が顔に当たる。涙雨だと思う。
いやな予感がしたが、静岡鉄道草薙駅前にはピッポ古書倶楽部が健在であった。半分が児童書と絵本、もう半分が硬めの古本の店。棚は少しだけ配置が変わっていた。前回来たときに狙っていた本が少し消えている。そりゃそうだ。棚が動かなければ話にならない。
静岡鉄道に乗って二駅、狐ヶ崎駅で下りる。チャッキリ節はこの地で生まれた。作詞者は北原白秋である。そこから歩いて約十分。ふしぎな古本屋はてなやに到着した。約二年ぶりである。よかった、やっている。ありがとう。
通路が四本あり、いちばん右が玩具やポスター、均一棚。ここの漫画は本当に魚影が濃い。次が漫画の単行本と雑誌、左から二番目がサブカル系、左が古くてレアなものとアダルト系ということになっている。田鶴浜弘のプロレス本が普通に揃っていたりするんだよな。漫画雑誌の棚を見て「少年キング」の鴨川つばめ掲載号、サブカル棚から『河内音頭』鷲巣功を抜く。後者は買おうと思っているうちに店頭から消えてしまった本だ。帳場に向かうと、女性の店員に向かって高齢の男性がしきりに自慢話をしている。古本屋に暇つぶしで来るタイプの人だなあ。どいてもらって勘定をし、外に出た。
新清水駅へ、そこからバスでJR清水駅まで行って乗り継ぐのである。バスを待っている間に何の気なしにツイッターを検索したら、驚くべき書き込みを発見してしまった。なんと清水書店がまだ営業していて、今年の1月に行った人があるという。なんと、と言われても困ってしまうと思うが、静岡県内にある未訪問の宿題店で、私は二回行って二回とも蹴られているのだ。書き込みによれば日曜日なら空いている可能性があるという。なるほど、日曜日か。行くか。
柳家かゑるを聴いて静岡駅へと取って返す。ざんざん降りの中バスに乗って目指すのは、静岡まで来てここに来なかったら意味がないあべの古書店だ。商店街全体が静まり返っているので嫌な予感がしたが、なんと9月1日まで臨時休業だった。しかも近くのブックランド馬場町店もお休み。これでは何のために静岡で一泊したのかわからない。
気落ちしたが、静岡駅前の居酒屋多可能に運よく入れたので、ホッピーと大きなアジフライで疲れを癒す。ここのホッピーは焼酎が二合徳利で出てきて、氷を自分で入れて作る形式だから、濃さの調節が難しいんだよな、などと思いながら『河内音頭』を読んで過ごす。やや暗めの照明が心地いい。日本一好きな居酒屋かもしれない。『河内音頭』は興味深い内容なのだが、前置きが大仰で入り込むのにやや時間がかかる。河内王権説から論を興す必要はあるのだろうか。しかもなべおさみのオカルト本なんかに言及するので、信頼度が落ちてしまっている。このへんの歴史科学性が弱いジャーナリスティックな感じが似ているな、と思ったら朝倉喬司と縁があった人で最終章がまるまるそれに宛てられている。なるほど。しかしおもしろい本ではあって、河内音頭の名手に触れられた列伝の章は非常に参考になる。
近くの両替町まで十返舎一九の生誕地を見に行き、ホテルに帰って寝た。