杉江松恋不善閑居 一心寺で三原佐知子鑑賞&ProjectHRO進捗率20%

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某月某日

今抱えている仕事。レギュラー原稿×5、イレギュラー原稿×3(解説×1、エッセイ×1、書評×1)。やらなければならないこと。の・ようなものの準備×1。ProjectHRO×1。

昨日の午前中は予定を変更して、ホテルで原稿書きに没頭した。チェックアウト時刻も連絡して送らせてもらう。本当は天牛書店江坂店に行くつもりだったのだが、原稿を書き貯めできそうな気がしたのだ。なんとか少し進めて外に出る。

いつもの動物園前ではなく新大阪にホテルをとったのは、この日一心寺浪曲寄席が終演したらすぐに新幹線で東京に戻らなければならなかったので、スーツケースをコインロッカーに預けるつもりだったのである。身軽になって素早く一心寺までの往復をしたかったわけだ。ところが三連休の最終日だったからかロッカーにはまったく空きがなく、荷物の一時預かり所にも長蛇の列ができている。これでは預けるだけではなくて、受取にも時間がかかってしまう。並ぶのは論外で、一心寺までスーツケースを持っていこうかとも思ったが、それでは動きが鈍くなってしまう。咄嗟の判断で、一時預かり所横のセブンイレブンに入り、宅急便でスーツケースを送った。我ながら好判断である。

そこから御堂筋線で南下、一心寺へ。開口一番の春野ココには間に合わなかったが、二席目の京山幸乃の上がりから入ることができた。三席目が三原佐知子でこの日のお目当て。一心寺には久しぶりの出演のはずである。ご体調が悪そうだったが、声節は実に素晴らしく歌に聴き惚れた。お気に入り松浦四郎若で終演。

一心寺を飛び出すとすでに十五時十分、ここから移動して十六時六分の東京行きのぞみに乗らないと十九時開始の朝日カルチャーセンターに間に合わないのである。天王寺駅までは十分くらいは歩けばかかる。と、目の前に空車のタクシーが通りかかったので、これを捕まえなんば駅まで行ってもらう。ショートカットをしたおかげか、無事に新大阪駅の発車時刻に間に合った。途中、新横浜駅で体調の悪くなったお客さんの救護が入り、到着が遅れてしまったために開講時間に少し間に合わなかったが、それは仕方ない。なんとか盛りだくさんの一日は終わった。ProjectHRO進捗率20%。先は長い。

これは書こうか書くまいか迷ったのだが、書くことにする。一心寺で高座を降りてこられた三原佐知子さんにサインをねだったお客がいた。それも差し出したのは東京かわら版の名鑑である。そもそも、ある程度の地位のある方にサインをいただくのであれば、色紙をお渡しするのが筋だと私は思う。芸人は人気稼業だからどんなものを差し出されても機嫌よく書いてくれるかもしれないが、御朱印帳よろしく名鑑に集めて回るという行為を快く思わない方はいるはずだ。相手のお気持ちは考えたほうがいいのではないか。また、この日の佐知子さんはご体調十分ではなく、現にお付きの方から、先生は今ちょっと無理だから、とやんわり断られていた。ただでさえ数十分の高座を終えてお疲れなので、終演後のサインをお願いするならその配慮もしたほうがいい。まして、高座でも自ら、今日は体調が悪くて、とお断りになられたほどではなかったか。芸人は血の通った人間で、体調や気持ちの都合もあるのだということをくだんの客氏は考えてもらいたいと思う。これが行きなれた木馬亭なら咄嗟に出て行って止めたところだが、一心寺ゆえに行動に移せなかった。ここに書いてもご覧になることはないと思うが、何かのはずみでお目に入ったら、以降の参考にしていただければ幸いである。

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