某月某日
今抱えている仕事。レギュラー原稿×5、イレギュラー原稿×4(インタビュー構成×3、評論×1)。やらなければならないこと。の・ようなものの準備×1。ProjectMH×1。
ぎりぎりまで仕事をしてから外出。四谷の紀尾井ホールで澤雪絵さんの独演会「SOUL OF 浪花節」があるのだ。平日昼間なのでどんなものかと思ったが、結構な入りだった。
饅頭こわい 桂伸都
徂徠豆腐(池上勇作)澤雪絵・佐藤貴美江
漫才 ロケット団
お見立て 雷門小助六
仲入り
ゆきおんな(大西信行作)澤雪絵・佐藤貴美江
仲入りまでの第一部が大師匠・二代目廣澤菊春が座り高座で寄席を勤めたことに則り、寄席型式で落語あり漫才ありのバラエティに富んだ内容である。第二部は一転して浪曲に専念して楽しむことができるように照明も落した舞台となった。ミュージカルを意識した構成であるという。「ゆきおんな」となるとどうしても2019年の故・澤孝子さんの舞台を思い出す。寒気のするような熱演、という言い方も変だが、まさにそんな充実した内容だった。雪絵さんも師を目指して精進しているのだな、ということがよくわかる舞台である。その「ゆきおんな」では師匠の着物を、「徂徠豆腐」では二代目の羽織と長着で登場した。こざっぱりとして様子もよく、軽く演じた。「徂徠豆腐」の座り高座は落語家の間に挟まってどう見えるか、という点が勝負だろう。この先、もう少し軽い外題も増やしていくといいのかもしれない。最後は演者が舞台に勢ぞろいして記念撮影。いい会だった。
四谷から中央線で西荻窪へ。盛林堂書房に預かってもらっているものがあるのである。一度訪れたが店が臨時休業していて持ち帰れなかった。二度目の挑戦で無事に落着。棚を見ていたらとんでもないものを発見してしまった。江口鉱三郎『おなじみ浪曲集 名人十八番』(鶴書房)である。見た瞬間に五桁までは覚悟して値札を改めたが、びっくりするほど安い。芸能専門の古書店だったらもっとつけていたはずで、これは盛林堂書房のサービスとありがたく頂戴することにした。
それにしてもなんたる幸運か。おそらくこれは古本の神様のご褒美であろう。この前日、古本屋四軒に袖にされてとぼとぼと帰った。あの試練に耐えたことでフラグが立って、盛林堂書房に江口鉱三郎が出現したのである。何を言っているのかと思われるかもしれないが、古本の神様は時折こういう悪戯をするのだ。
西荻窪から吉祥寺へ。古本センターとバサラブックスだけ覗いて帰る。渋谷ではフライングブックスに。一階の古書サンエーが閉店してしまってから足が遠のいてしまって、ひさびさの訪問である。帰宅してまたしばらく原稿。