今抱えている仕事。レギュラー原稿×5、イレギュラー原稿×1(評論×1)。やらなければならないこと。の・ようなものの準備×1。ProjectMH×1。
天野屋書店を出て、西へ向かうと通る大きな道に出る。そこからバスに乗って二つ目の停留所、浄行寺で下りた。後で知ったのだが、藩政時代の熊本城下はここまでで、その北側はいわゆる在ということになる。市制が敷かれるようになって街が拡大していったが、昔は下級武士や農民が住んでいたあたりということだそうだ。道をそのまま北上して交差点を渡った先、道の右側にあるのがタケシマ文庫だ。最近になってこの場所に移転したのだという。車で視認できる看板が建物の上のほうにあるが、実際の店舗は長屋上になっている並びにある。日除けが出ていて、その下に均一棚が出されていた。やっている。
中に入る。棚が島状に出ていて、通路が曲がりくねった状態になっているタイプの店舗だ。入って右側のほうは文学系が中心、左側はサブカルチャーが強いという印象である。完全にジャンル分けされているのではなく、島の中に混然としている状態なので注意して見なければならない。奥へ進んでいくと見えていなかった物陰にレコードのブロックがあったりする。帳場は奥右側で、高いカウンターの向こうで店主らしき男性が何か作業をしている。その手前右側壁に郷土関係の資料がまとまってあったので、しばらく足を止めてしげしげと見た。左側の壁から棚が突き出していて、コの字型のコーナーがいくつかできている。その中には本の箱が積まれているので、上に手をついて覗き込むようにしないと中は把握できないのである。
いちばん奥のコーナーに、ちょっと珍しめの本があった。郷土本であり、芸人本でもある。収穫なのだが、困ったことに値段がついていない。帳場に行って訊ねると、男性が考え込むような顔になってパソコンで何やら調べ始めた。やがて、値段を教えてくれる。予想していた額よりもかなり上だったので、これは手が出ないと判断した。カウンターから入り込むようになっている一帯だし、もしかするとあそこの本はネット販売用の在庫置きを兼ねているのかもしれない、などと考える。ネットで確認したら件の本は、さらにもう一桁上の値付けになっていたのである。
店を出ると琵琶師の岩下小太郎さんから連絡がある。いっしょにご飯に行く約束をしていたのだ。しばらく待っていると小太郎さんが現れた。朝と髪型が変わっていて驚く。散髪してこられたのだそうだ。車で送ってもらってホテルにチェックインし、近所で食事。肥後琵琶の基礎知識についていろいろ教えていただいて楽しいひとときを過ごした。熊本一日目、終了。(つづく)
(つづく)