朝いちばんで5月公演の〈スギエゴノミ〉などチラシを作って印刷所に発注し、急いで外出。千代田線に乗り換えて接続の常磐線へ。南柏駅で降りる。フィールズ南柏で定期的に開催されている古本市に行くのだ。昔はこういう、駅前の商業施設で開かれる古本市が各所であった。私が住んでいた多摩の田舎にもやってきて、そこでミステリマガジンのバックナンバーなどを購入した記憶がある。
フィールズ南柏の古本市は、それほど大規模なものではなく文庫本が中心だが、専門書でもこれはと思うものが出るので侮れない。関山和夫『説教と話芸』(青蛙房)が550円で出ていたのでありがたく購入する。目次を開くと円朝の名前なども出てくる。これは必要だろう。
常磐線で北千住まで引き返し、つくばエクスプレスで浅草へ。東京の浪曲師・天中軒すみれと大阪の京山幸乃の二人会「ゆきのすみれ」が1年ぶりに再開したのである。すみれさんは拙作の「小栗判官餓鬼阿弥車」3度めの口演をされるということなので聴き逃せない。
木津の勘助 淀屋の娘 京山幸乃・一風亭初月
トークコーナー 天中軒すみれ・京山幸乃
掛け合い浪曲「転宅」全員
小栗判官餓鬼阿弥車 天中軒すみれ・広沢美舟
「木津の勘助」は講談ネタだが、勘助の傑物ぶりよりも応対をする番頭のあたふたぶりを描いてより笑える内容に。「転宅」は落語ネタの浪曲化で、すみれさんの演じる気丈な妾が意外なほどにはまっていた。
「小栗判官餓鬼阿弥車」を広沢美舟さんの三味線で聴くのは初めてで、話の前段に少し台本にないくだりが入っていた。すみれさんによれば、判官が地獄に落ちる因果を説明するためとのこと。なるほど。いい判断だと思います。節は文句なく、口演するごとに磨きがかかっていると感じた。一か所だけ仕草でこうしたほうがいいと思ったことがあったので、終演後にお伝えする。次は6月のかるた亭で口演されるとのこと。
終わってから楽屋をお訪ねし、広沢美舟さんにいろいろご挨拶をして帰る。つくばエクスプレスで秋葉原まで行き、京浜東北線で浦和まで。浦和宿古本いちである。
露天で気持ちいいし、平台なので、ここは非常に見やすい。人が立て込むこともなくていつも楽しい古本まつりだ。気分がいいせいか、どんどん拾えてしまい、さらにそれが安いので困ってしまう。最初に拾ったのは俳優・渡辺文雄のエッセイ『江戸っ子は、やるものである。』(みずうみ書房)。渡辺文雄にこんな著書があるのは知らなかったし、東京っ子のエッセイなので迷わず買う。200円。宮本馨太郎『かぶりもの・きもの・はきもの』(岩崎美術社)は庶民の日常着についての民俗書で、いろいろ参考になるので欲しかった。550円。この民俗民芸双書は場所によってずいぶん値段が違うのだが、安いときに買って全巻揃えたいものだと思う。73冊あるそうだ。兵頭裕己『太平記〈よみ〉の可能性』(講談社選書メチエ)は、講談の源流を探る意味で必要な本。これが330円は安かった。そして日置昌一編『日本系譜綜覧』(講談社学術文庫)は日本のさまざまな系図を集めた本で、これがあると非常に助かる。550円はただみたいなものである。
他にもいろいろ買って帰京。ダブった本はそのうちPASSAGEに出すと思う。
ずっと表にいた日なので勤務評定は-1.0。ゴールデンウィークだし、仕方ないでしょ。