杉江松恋不善閑居 博麗神社例大祭おつかれさまでした

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某月某日

早起きして東京ビッグサイトへ。第21回博麗神社例大祭である。

国際展示場駅を出て驚いた。人の波がいつも以上にすごく、コロナ前の全盛期に戻った感がある。というか、コミケの開催日みたいだ。駅前には警察の装甲車が停まっていてさらに驚く。誰か要人でも来るのか。もしかして皇族でも参加するのか、と思ったが、憲法記念日なので有明公園で記念集会が開かれるのだった。なるほど、そっち方面の警備か。

ビッグサイトに着くと人並みは二つに分かれる。例大祭は東館で、西館ではカードゲームのイベントが行われているらしい。それで人が多かったのか、と思ったがやはりいつも以上に密度は高い感じであった。始まる前から、これは大変だろうな、と緊張が高まる。

配置された、し-29aはメイン通路に面したお誕生日席だった。2014年から10年間サークル参加してきたが、いちばんいい場所である。もしかしてご褒美なの。すでに到着していた本坊さんと設営を行う。新刊『お先にどうぞ、博麗霊夢』と東方名華祭で頒布開始した『博麗霊夢、待ってました』の二冊が主、そして既刊も含めると22冊になる。完売したものが『博麗霊夢がやってくる』『博麗霊夢はどこにいる』『こんにちは、博麗霊夢』で、残りが1冊しかない『さようなら、博麗霊夢』も今日売れるかもしれない。

午前10時30分開場。入場制限があるのか、最初はメイン通路に人が流れてこない。待機列のある壁側が先に開放されたのだろう。しかし待機列の人は上海アリス幻樂団を初めとするお目当てサークルにまず行くはずで、中側の通路には流れてこないのである。最初はいつ売れますかねえ、などと言っていると、なんと2分後に新刊セットが出た。30分もするとさすがに人の波が押し寄せてくる。あっという間に通路は人の波に飲まれた。

最近の特徴として例大祭は若年化が進んでいる。コスプレをした小学校低学年の姿も見られ、親子連れで来ている人も多い。親から子に東方Projectは受け継がれているのかもしれず、だとしたらもう立派な文化である。コロナ前はじりじりと年齢層が上がっていた印象があるのだが、中断を境に一気に変化した。新しいファンが入ってくるのは本当にいいことだ。〈腋巫女愛〉の本も、以前は中年層の男性が主だったのだが、最近では女性や十代に本が売れるようになってきた。サークルの実力が上がったというよりは、こうした潮流のおかげである。

それにしてもお客が途絶えない。いつもだったら交代で出歩くこともできるのだが、それが無理なほどに来客は続き、あっという間に開催5時間の折り返しになった。午後1時をピークとして、そこから急激に人波が減り、本が売れなくなるのがこれまでの常だったのだが、一向にそうなる気配がない。相変わらず多くの人が通っているのである。ただ、本を買ってくれる若い人は減った。これはたぶん、手持ちのお金が少なくなって、買うものを厳選し始めたからではないかと思う。大事なことである。それでも今度は年齢層が上の方が買ってくださるようになり、相変わらず途切れない。

初めて〈腋巫女愛〉の本を買ってくださる方も多いようで、「これはどういうジャンルですか」と聞かれることが多かった。二次創作なのでオールジャンルと言ってもいいのだが説明としては「かなり忠実な原作準拠なので、新しい設定などは付け加えない」「原作キャラクターには二次創作的性格をつけず、誰も悪役にしない」「毎回変な異変が起きてその解決が描かれる」「博麗霊夢をかっこよく書く」が基本ということになる。それでよければどうぞ、ということで説明したり、好みの作風やキャラクターをお聞きしてこちらで選書する、ということもしたりした。あっという間に15時半終了、嵐のような5時間だった。

サークルスペースに足を止めていただいた方、もちろんお買い上げくださった方に心より御礼申し上げます。みなさんのおかげで同人活動を続けていくための、新しい意欲も湧いてきました。きちんとイベントごとに同人誌を出すことができる、というのが私のライターとしての矜恃になっています。そういう執筆活動ができる書き手であると。みなさんのおかげでまだライターとして頑張っていくことができます。ありがとうございます。

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