杉江松恋不善閑居 衣食足りて表現の自由を知る

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某月某日

仕事読書をしてから、えいやっで2本原稿を終わらせる。送稿して勤務評定は2.0。この原稿料で6月末までに稼がなければならない額への進捗率は97.95%に達した。

午後から外出し、重要な打ち合わせ。都内某所にていろいろ話す。スケジュールを決め、段取りを決め、とかなり前に進んだ感がある。来年は順調にいけば編著が1、共著が1出る予定なのだが、それに加えて自分でも初めてという大きな事業を3つ手がけることになっている。そんなことやって大丈夫なのか、と思うのだけど、でもやるんだよ。打ち合わせはそのためのものであった。帰宅して家族と過ごす。蒸し暑くて睡眠不足気味である。

東京では都知事選が始まった。いろいろ論点はあると思うが、現在の小池百合子知事にもう1期やらせたら東京都はめちゃくちゃにされるだろうから、制止するということを第一に考えなければならないと思う。石原慎太郎も晩節を汚して終わった。権力を一人の手に長く持たせすぎると、ろくなことにならないのだ。

候補者が乱立している状況である。これからの主役となる若い世代が無理なく働けて、家族を持つことができる施策を目指している人を私は応援すると思う。あまり偏った見方をすると危険だ。

麻生太郎が総理大臣のときに漫画好きを打ち出して、そういう層にアピールをしたことがあった。アニメ・漫画好きな人の気持ちをそうやって掴むことが政治的手法になったのは麻生以降だと思う。通用するということがわかったのだろう。豊かに作品が生み出される環境を整備するというのは大事かもしれない。しかし、漫画やアニメだけで世界は構成されているわけではなくて、一次から三次までの産業という基盤がつつがなく成立し、不公平なく富が分配される状況が成り立ってこそ、そうした娯楽を謳歌できるのだと私は思う。倉廩実つれば則ち礼節を知り衣食足れば則ち栄辱を知る。社会の基本をおろそかにしたところに真の楽しみは到来しないのである。

社会に対する不満が昂じると、自らの気持ちを託せるものが欲しくなる。それが二次元の創作物であることもあるだろう。それは私も持っている気持ちなのでよく理解できる。ただ、それだけを守ろうとしても地盤が伴わなければ成り立たない。どんなところに種を撒けば育つのかを見極めなければならないと思う。

たとえば表現の自由を守ろうとするならば、一人でも多くの生存権を守ることが遠回りのように見えて実は最適な近道となる。私はそう思うものです。

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