杉江松恋不善閑居 松本清張賞の井上先斗『イッツ・ダ・ボム』に期待

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某月某日

調子が出ず、あまり仕事が進まなかった。ぎりぎりのところに来ている〆切があるので本来はかなりまずいのだが、気に病むと負の連鎖に陥るので仕方ないと割り切ることにした。人間できないことはできないのである。そうやって自分を励ましていると、ピコンとメールが届いた。新しい仕事の依頼である。よかったよかった。ゆえに本日の勤務評定は1.0。完全な他力本願だが、これでいいのだ。

夕方になって外出し、都内某所へ。松本清張賞の贈賞式である。受賞者の井上先斗氏は以前からの知り合いなのだ。会場で受賞作『イッツ・ダ・ボム』のプルーフをいただいたので、受賞者に挨拶をする列に並んでいる間に最初の2章だけを読む。作者のボイスがある文体で、一人称で物語の前提となる情報が流れるように書かれている。好ましい出だしだと思った。井上氏にはその旨、お伝えした。全部読むのが楽しみである。

その挨拶だけでパーティーは失礼し、新宿三丁目へ。日本推理作家協会事務のAさんが退職され、別の方が働くことになったので、歓送迎会なのである。理事・監事のみなさんともお会いしてあれこれ話す。程よい時間に帰宅。

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