杉江松恋不善閑居 スギエゴノミにて木村勝千代独演会・東家一太郎独演会

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某月某日
昨日はスギエゴノミの一日。事情があって午前の部はお休みで、昼の部は木村勝千代さんの独演会であった。曲師は広沢美舟さん。平賀源内原作の「神霊矢口渡」をリクエストしていたのだが、勝千代さん提案で、浪曲の前に節付け教室となった。勝千代さんは16歳のときに亡くなった寺山修司追悼公演で「青森のせむし男」に少女浪曲師の役で出演している。そのとき、与えられた歌詞にどうやって浪曲の節付けを行ったかを実例に沿って説明してくれた。たいへんに濃密な時間だった。
夜の部は東家一太郎・美の夫婦相三味線コンビによる独演会。こちらも私のリクエストで、「雪の網走」が前講である。一太郎さんの師匠である二代目東家浦太郎さんは、浦清といっていた若手時代にチャンスをもらい、当時流行の任侠映画を思わせる台本でヤング浪曲を演じた。テーブルを使わず、スタンドマイクでの一席であったという。それを可能な限り忠実に再現するというのが今回の趣向で、照明などの演出もあって興味深かった。後席は「義士外伝弥作の鎌腹」である。こちらも浦太郎十八番から。よい会だった。
そんなわけで一日浪曲会のために動き回っていたので仕事はせず。勤務評定は-1.0となる。たまにはいいでしょう。

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