杉江松恋不善閑居 ウルトラと浪曲、そして古本市

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某月某日

午前中は池袋サンシャインシティにてウルトラヒーローズEXPO2024、午後は浅草木馬亭で日本浪曲協会主催の「浪フェス」というイベント尽くしの一日だった。ウルトラヒーローズEXPOについてはまた改めて書くかもしれない。

「浪フェス」はたぶんフジロック開催期間ということを意識しているのではないかと思う作りで、ふだんは場面転換のために閉まる幕をそのままにして、次々に浪曲師と曲師が出てくるなど、いつもと違う展開が印象的だった。天中軒雲月「男一匹天野屋利兵衛」で第一部が終演したあとは第二部で、節劇「おしんでねぇか」が上演された。節劇とはナレーターとして浪曲師が控え、役者は当てぶりのような形で大道具や衣装にはあまりこだわらずに行われる略式の演劇である。この日も主役の「おしんでねぇか」を演じた東家千春は、本来の衣装の上に大きな紙袋をかぶっての出演だった。あとで紙袋を破って中から綺麗な衣装が姿を現すという趣向なのだが、そのくらいの適当な仕立てでいいのである。

この節劇で本領を発揮したのが脚本と演出を兼ねる東家恭太郎で、ギャグの連発で生き生きと観客を沸かせていた。こういう才能があったのかと感心する。最後は結婚行進曲に「高砂や」を重ねて歌っていたが、あれは榎本健一が「エノケンの法界坊」で披露した替え歌ではないか。

ちょうど隅田川花火大会の日で、人込みで街が混雑し始めていたため、急いで浅草を離脱する。中央線で高円寺まで向かい、座・高円寺の「本の楽市」、西部古書会館の「中央線古書展」をはしごした。購入したのはほとんどダブり本だが、珍しいものもあった。

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