杉江松恋不善閑居 木馬亭八月定席公演五日目

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某月某日

本日も木馬亭定席へ。切羽詰まった〆切があったので迷ったのだが、どうしても届けなければならないものがあったのでやむをえなかった。だが、行ってよかった。客席が温かく、変に偏った雰囲気にもなっていなくて、これぞ大衆演芸の小屋という雰囲気の興行だったのである。

モタレ(トリの前)・玉川奈々福さんは至宝・沢村豊子の三味線で自作の「甚五郎旅日記 狸と鵺と甚五郎」を。いろいろな考え方があると思うが、やはりモタレ読みはわっと賑やかに明るく、次のトリへ向けて客席の雰囲気を整えるものであってもらいたい。トリをとれる実力のある人がそれをやるというのが重要なのだ。ニセモノ甚五郎のせいで右往左往する大工留五郎がそれどころではない思案中に、ホンモノ甚五郎がやってきて邪険にされる、という展開にいつも笑う。この甚五郎は「掛川宿」の狩野探幽がちょっと入っており、年を取って甚五郎も探幽の域に達したか、とにやにやさせられる。

そこからトリで鳳舞衣子さん「稲川次郎吉出世相撲」。新門辰五郎義侠の一席なのだが、気持ちよく聴かせてもらった。舞衣子さんは休演された天光軒満月さんの代演なのだが、翌日の六日目も、港家小柳丸さんが熱中症でダウンしたためにモタレの代役が決まったのだとか。お暑い中たいへんである。ちなみに舞衣子さんは10月にアートスペース兜座でひさびさの独演会が予定されているので、ぜひお運びくださいませ。

終演後は用事を済ませてとっとと帰路に就く。書かなければならない原稿を半分くらい上げたところで時間切れとなった。原稿はできなかったので勤務評定は-1.0。

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