杉江松恋不善閑居 世間が意のままにならないのは仕方ないことだ

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某月某日

難航している文庫解説に一日取り組んで他は何もしなかった。木馬亭定席にも行けず。そういう日もある。仕方ない。

検討をお願いしていた企画に対して先方から丁重なお断りのメールを頂戴した。これもそういうものだと思う。記されていた理由はごく真っ当なものであった。仕方ない。

スケジュール調整がうまく行かず、延び延びになってしまっている案件について、一念発起して仕切り直しの申し入れをした。それをやると自分の作業量が増えてしまうのだが、いつまでもお見合い状態を続けても話は進まない。仕方ない。

来月に迫ったある案件について、なんとかなりそうだという見通しはあるのだが、安閑としていてはいけないだろうと決意し、経費を投じて梃入れを行うことにした。お金は出ていくがやらなければ後で後悔するかもしれない。仕方ない。

仕方ない、仕方ない、仕方ない、仕方ないで、滅入ることばかりであった。最後にもう一つ、どうしても気になっていた件について問い合わせを入れた。会社によってやり方が違うのは当然のことなのだが、できれば他社に合わせてもらえるとありがたいんだけどなあ、とややぼやきながらメールを送信する。これも仕方ない、けどできれば返信はもられるとありがたい。

曖昧とした不満が澱のように残ってしまった。厄払いが必要だろうと思う。

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