杉江松恋不善閑居 池袋の飲み屋といえばふくろ

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

某月某日

昨日は不調で、一日うだうだとまとまらない仕事をした後に池袋コミュニティカレッジで講師であった。帰りにふと気が向いて、池袋西口のふくろに寄る。

ここは私が学生のころからある店で、朝から飲めることでも有名である。かつては気張って入るような店だった。ふくろは別に格式など関係ない、ざっかけないカウンター居酒屋なのだが、私の側にあのふくろだから、という気負いがあったのだ。学生のときに来た、というのも敷居が高くなった原因だったかもしれない。30年前の池袋西口の、あのころのふくろだもの。

ひさしぶりに入ったふくろは、もう何十年も通っているような心安さを感じさせてくれるような店だった。肉じゃがコロッケとレバ炒めを頼んで千円ちょっと。それにホッピーを2セット頼んでも二千円を少し出るくらいだ。気持ちがよくて、つい焼酎を飲みすぎてしまった。ここは焼酎が日本酒の一合瓶で出る。つい二合飲んでしまった。

ライスが200円なので、なんでもすきなおかずを合わせて定食にすることができる。〆の麺類はだいたい580円だ。ざるそば・ざるうどんが530円だったかな。さる中華、汁なし担々麺、焼きそば、焼きうどんが580円である。お茶漬けはたしか430円。ざるそばが530円って、駅前の富士そば並じゃないか。しかも富士そばよりもこっちのほうが好みである。上に書いた肉じゃがコロッケは、二つで430円くらいだった。キャベツ盛りと辛子もついてである。この安さ、居心地の良さ。なんでしばらく来なかったんだろう。

池袋西口は風俗街が近くにあることもあって、いつでも賑やかだ。たまたまなのかもしれないが、そこらへんの店よりもふくろは、音量がだいぶ低いように感じた。一人で飲むならもうこっちか。ふくろの戸をくぐるのに、もう遠慮がない年になっていた。30年遠回りしてたどりついたという気分だ。ただいま、と言いたい。

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存