杉江松恋不善閑居 スナック玉ちゃんで玉袋筋太郎さんにお会いした

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某月某日

相変わらず成果物が出ない日々。こんなことで食っていけるのだろうかと不安になる。だが腐っていても仕方ない。

ぎりぎりまで無駄な努力をして都内某所へ。芥川・直木賞の受賞パーティーである。無駄にキャリアは長いが、実は出席するのは初めてだ。どうも人の多い場所は疲れるのである。しかし今回は芥川賞受賞の朝比奈秋さんから直接お声がけいただいたので何があっても行く。会場に着いたのは閉会20分前であった。受付で文藝春秋の社章の形をしたシールをもらって胸に貼る。そういうシステムなのか。まっすぐ朝比奈さんの挨拶列に並び、順番を待つ。閉会時間になって蛍の光が流れてきたが、二つ前の編集者だかの背広組が朝比奈さんをつかまえて長話をして動かない。時間切れになりはしないだろうが、じりじりする。横でぽけっとしている編集者に心の中で、握手列が長くなっているぞ、剝がせ、と念を送った。握手列じゃないか。

順番が来て朝比奈さんに挨拶。一言、二言だけお話して会場を後にする。用は済んだ。

この日はもう一つ用事があった。『芸人本書く派列伝』に帯文をいただいた玉袋筋太郎さんにお礼を言うため、赤坂のスナック玉ちゃんを訪ねるのだ。

担当編集者Yさんと赤坂見附で待ち合わせをして開店時刻の8時ちょっとすぎに訪ねるも施錠されている。ちょっと出直そうということで近所のエクセルシオールへ行き、Yさんと雑談しながら時間稼ぎをする。Yさんは8月最終週に3冊も入稿作業があるそうだ。そんなに仕事をすると死ぬよ。大丈夫か。

8時30分過ぎ、再びスナック玉ちゃんに戻ると、驚くなかれほぼ満席になっていた。たまたま2席だけ空きがあったからよかったようなものの、入れなかったらえらいことだった。わずか30分でこれか。繁盛しているのはいいことだ。お客の中に旧知の落語家さんがいてびっくりする。お客さんと二人で来たとのこと。知り合いだということで目ざとく店員に案内され、そのお客さんも含む4人でテーブル席に就く。玉さんはまだいない。

30分ほど経って玉さんがやってくる。どこかでガソリンを入れてきた感じだ。手前のテーブルに座ったが、まだこちらには気づいていない。声をかけるのも野暮なので、こちらはこちらで飲んでいることにした。団体客が景気よくカラオケを入れているのだが、あいにく平成以降の曲が多くて私はほとんど知らない。

ふとしたはずみで玉さんと目が合い、互いに目礼。玉さんがグラスを持ってこちらのテーブルにやってきた。そこで本をお渡しし、しばらく話をした。芸人らしい色気のようなものが感じられて誠に好ましい。1時間ほどで切り上げ、帰途についた。これで『芸人本書く派列伝』のためにやらなければならないミッションはすべて完了した。このあとプロモーション関係で何か必要になったら随時対応します。

人にたくさん会った一日、おしまい。

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