某月某日
午後に重要な会議があったのだが、午前中にはどうしても片付けなければならない原稿があって、ぎりぎりまで書いていた。なんとか終えて担当者に送付、実は『日本の犯罪小説』の終章書き下ろしであった。一度九割方書いていたのだが、どうにも気に食わなくてボツにしてしまい、最初から書き直した。間に合ってほっとしている。ついでにレギュラーの小さな原稿も送った。
午後は会議、そのあと簡単な懇親会があって帰宅した。
週末、9月8日は一日演芸会〈スギエゴノミ〉である。午後の部は木村勝千代さん独演会、夜の部は広沢菊春さん独演会、いずれも曲師は広沢美舟さんだ。勝千代さんには「真っ黒なおべんとう」をお願いしている。原爆の哀しみを歌った現代浪曲だ。フルバージョンでお送りする予定なので、一度聴いたことがある方もぜひ。菊春さんには二代目菊春の持ちネタから二席をお願いしている。二席聴き比べて、どちらが気に入ったかをぜひ教えていただきたい。
二つ仕事を片付けたことで、現在抱えている仕事は以下の通りになった。
【レギュラー】週刊6、月2回刊2、月刊4、年4回刊1、【イレギュラー】書評3、選評1、インタビュー・対談構成4、文庫解説1、単行本再校戻し1、【その他】対談1、座談会出席1、講義3、動画制作・公開9、演芸会主催4。
イレギュラーのほうは新聞書評が2つ入った。一件は浪曲「じゃりン子チエ」のプレスリリースを知人の記者に送ったところ、逆に依頼をいただいたのである。ありがたいことだ。
私が他人の原稿売り込みで対価をいただかないのは、こういうことがあるからである。売り込みという大義名分をもらって各社に営業する機会をもらえば、何パーセントかはこうして自分への仕事依頼として返ってくる。返ってこなくても、自分が企画の営業をすればいいだけの話なのだ。それで仲介料までもらったら罰が当たる。
何が嫌だって、業界ゴロと思われるのがいちばんだ。Aという人をBという出版社に紹介して、その間でかすりをとる。何もしていないのに金を取るというのは、もちろん仲介業を本職にしている人がやれば立派な仕事である。しかし私はそうではないので、免許もないのに口入屋をやるようなものだ。現役で自分が書いているのに、他人からテラを取っていると思われたら、それこそ仕事の障りである。何度も書くが、私がもらうのは営業をする機会だけでいい。もし成約できても、私には何も必要ない。その分誰かに親切にしてやってもらいたい。
この日は原稿を二つ書いたので勤務評定は1.0である。稼いだ原稿料は書き下ろしの追加分なので残念ながらなし。今月稼がなければならない額への進捗率は、有料の原稿を書いてからまた発表する。先月は全然達成できなかったのでお恥ずかしい結果に終わってしまった。十月の収支にも響くはずである。反省してまた頑張る。